【7月20日 AFP】米フロリダ(Florida)州で黒人少年が自警団員に射殺された事件について、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領は19日、武器を持っていなかったにもかかわらず射殺されたトレイボン・マーティン(Trayvon Martin)さん(当時17)は「35年前の私だったかもしれない」と、極めて個人的な見方を示した。

 事件では昨年2月、フロリダ州サンフォード(Sanford)の自衛居住区(ゲートコミュニティー)で自警団員を務めていたジョージ・ジマーマン(George Zimmerman)被告が、近所に住んでいたマーティンさんを射殺。同被告は第2級殺人罪に問われていたが、陪審団は今月14日、「正当防衛法(スタンド・ユア・グラウンド法)」を適用し、無罪評決を下した。

 同法では、生命の危険を感じた場合、身を退くことなくその場にとどまって、殺傷能力のある武器で反撃しても良いと定めており、その是非をめぐっては意見が分かれている。

 19日に突然の記者会見を開いたオバマ大統領は、マーティンさんの両親の「驚くべき寛大さと品格」を称賛した上で、フロリダ州の評決に対し暴力に訴えることは、マーティンさんの死を「汚す」ことになると警告。同時に、正当防衛法の見直しを呼び掛けた。

 オバマ大統領は「トレイボン・マーティンさんは、35年前の私だったかもしれない」と述べて、米国の人種問題についての熱い議論を引き起こした評決について、初めて本格的に発言。 評決への直接的な言及は避けたものの、この事件によって引き起こされた、より広い人種問題の議論に触れた。

「もしトレイボン・マーティンさんが大人で武器を持っていたら、あの歩道にとどまっただろうか、考えてほしい。さらに、車で後をつけて来たジマーマン被告を、脅威を感じたからという理由で射殺したら、それが正当化されるなどと本当に考えるだろうか」

「その問いに対する答えが少なくとも曖昧なら、こういった法律は見直されるべきなのかもしれないと、私は思う」

(c)AFP