【7月19日 AFP】フランス当局は18日、「大規模なテロ行為」を企てている恐れがあるとして逮捕していた過激派ノルウェー人男性を釈放した。司法筋がAFPに対し明らかにした。

 クリスティアン・ビーケネス(Kristian Vikernes)さん(40)とフランス人の妻マリー・カシェ(Marie Cachet)さん(25)は16日に同時に逮捕されたが、捜査当局はテロ計画の証拠を見つけられなかったという。カシェさんは翌17日に釈放されていた。

 2人はフランス中部コレーズ(Correze)地方の自宅で、テロ行為を企図している疑いで逮捕されていた。ビーケネスさんはかつて母国のノルウェーで仲間のミュージシャンを刺殺した罪で有罪判決を受け、16年服役した前科を持つ。

 ビーケネスさんの弁護士は17日、ビーケネスさんはテロ行為を企てていたわけではなく、「サバイバリスト」だと説明した。「サバイバリスト」とは、緊急事態に備え、食料や水、薬の備蓄や避難施設の設営といった積極的な準備を行っておく「サバイバリズム」を実践している人を指す。こうした人々は、社会的または政治的な惨事や大規模な自然災害が間もなく起こると信じていることもある。

 弁護士によると、2人の自宅から押収された武器は「2人が信奉するサバイバリズムの理念の一環で、完全に合法的に、何らの隠し立てもなく」入手されたものだという。

 2人の逮捕に当たって内務省は、ビーケネスさんが「ネオナチ(neo-Nazi)運動に近く」、「大規模なテロ行為」を企図している恐れがあるとしていた。マニュエル・バルス(Manuel Valls)内相は後に、当局が「後手に回ることなく先手を打つ」ために、標的と計画のいずれも特定されていなかったものの逮捕に踏み切ったことを認めていた。(c)AFP