【7月8日 AFP】(一部更新、写真追加)エジプト・カイロ(Cairo)の陸軍本部前で8日早朝、ムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領の解任に抗議し、同氏の復職を求めていたデモ隊に治安部隊が発砲し、35人が死亡した。モルシ前大統領の出身母体「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」が同日、発表した。この事態を受け、同胞団の政治組織、自由公正党(Freedom and Justice Party)は「蜂起」を呼び掛けた。

 ムスリム同胞団は声明で、「モルシ氏の支持者らが祈りをささげていたところ、警察と軍が実弾と催涙ガスを撃ち込んできた。これにより約35人が死亡した。死者は増える可能性が高い」と述べた。声明が発表される前の時点で、同胞団の広報担当者はAFPの取材に対し、治安部隊によりデモ隊16人が射殺され、100人が負傷したと述べていた。

 また、デモの参加者らはAFPの電話取材に、カイロの共和国警備隊(Republican Guard)本部前でのモルシ支持者らのデモを解散させようと、治安部隊や警察が実弾や催涙ガスを使用したと証言。ある参加者は「人々が彼らに撃たれたのを、この目で見た」と述べ、負傷者もいたと語っていた。

 自由公正党は「エジプトの偉大な民衆による革命を戦車で盗もうとする者たちに対する蜂起」を呼び掛けるとともに、これ以上の虐殺をやめさせ、アラブ世界に新たなシリアが生まれるのを阻止するよう、国際社会や国際団体、世界中の自由な人々に訴えた。

 一方、エジプト軍は同日、政府系日刊紙アルアハラム(Al-Ahram)に声明を発表し、「武装したテロリスト」が共和国警備隊本部を襲撃し、治安要員1人が死亡したと述べた。声明は「夜明けごろ、武装したテロリスト集団が共和国警備隊(建物)の襲撃を企て、軍部隊と警察官に攻撃し、警察官1人が死亡、徴集兵複数が負傷した。うち6人が重体」と説明している。

 現場周辺は警察が設置したバリケードで囲まれており、メディア関係者は立ち入れない状態となっている。(c)AFP