【6月29日 AFP】数千万ユーロ(数十億円)を自家用ジェット機でイタリアに不法に持ち込む計画を立てたとして、バチカン(ローマ法王庁)の高位聖職者と元情報機関員、金融ブローカーの3人が逮捕された。検察当局が28日、発表した。同事件は、不祥事が続くバチカンの「宗教事業協会(Institute for Works of ReligionIOR)」(通称バチカン銀行)に対する捜査の一環で明るみになった。

 バチカンの高位聖職者として「モンシニョール」の尊称で呼ばれるヌンツィオ・スカラーノ(Nunzio Scarano)容疑者(61)は、現金2000万ユーロ(約26億円)をスイスからイタリアに不法に空輸しようとしたとされ、詐欺と汚職の疑いがもたれている。

 3人の逮捕は、バチカン銀行への捜査から、スカラーノ容疑者がマネーロンダリング(資金洗浄)に関与している疑いが生じたことがきっかけだった。

 ローマのネロ・ロッシ(Nello Rossi)検察官によると、問題の金は石油タンカー船団を所有する3兄弟のもので、脱税で得られた資金だという。

 ブローカーのジョバンニ・カレンチオ(Giovanni Carenzio)容疑者は現金の護衛役で、イタリアに持ち込む方法を探求していたとされる。元情報機関員のジョバンニ・マリア・ツィト(Giovanni Maria Zito)容疑者は現金を自家用ジェット機で運び税務・税関検査を避ける役を負っていた。現金2000万ユーロは自家用ジェット機でローマ空港に輸送され、武装警備のもとスカラーノ容疑者の自宅に運ばれる予定だったが、3人が仲違いしたため計画は頓挫したという。(c)AFP/Ljubomir MILASIN