【6月19日 AFP】米女優アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)さんのスタント役を務めた英国人女性が、英大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)」に電話の伝言メッセージを盗聴されたとして、親会社の米メディア大手ニューズ・コーポレーション(News Corporation)などを相手に損害賠償を求める訴えを米国の裁判所に起こしていたことが18日、明らかになった。

 訴訟を起こしたのはユーニス・ハットハート(Eunice Huthart)さん。電話の盗聴は「ジョリーさんについての情報を得る手段として」行われたと主張している。

 ハットハートさんはニューズ・コーポレーションと、子会社の「ニューズ・インターナショナル(News International)」と「ニューズ・グループ・ニューズペーパーズ(News Group Newspapers)」、その他の複数の個人を相手取り、「制定法上で最大限の実質的損害賠償」と懲罰的損害賠償の支払いを求め、今月13日に米ロサンゼルス(Los Angeles)の連邦地裁に提訴した。

 訴状によると、映画『Mr.&Mrs. スミス(Mr & Mrs Smith)』などの制作が行われていた2004~05年の間、ハットハートさんの電話に残されたジョリーさんなどからの留守電メッセージが数多く失われた。ニューズ・オブ・ザ・ワールド紙からの依頼に応じて電話メッセージを傍受したとして、2007年に禁錮6月の刑に服したグレン・マルケア(Glenn Mulcaire)元受刑者のメモには、ハットハートさんの携帯電話番号、銀行口座番号と個人コードが記載されていた。

 ハットハートさんは、娘が残したメッセージを受け取れなかったほか、夫からの電話に応答できなかったため夫から浮気を疑われ「夫婦関係が傷ついた」とも主張している。

 ニューズ・オブ・ザ・ワールドを廃刊に追い込んだ盗聴スキャンダルに関連した訴訟が起きるのは、米国では初めてとみられ、火消しに努めてきたニューズ・コーポレーションにとって大きな痛手となった。

 同社はすでに、英国での電話盗聴疑惑に関連した民事訴訟や刑事訴訟を多く抱えている。この盗聴スキャンダルにより、メディア王ルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏が率いるニューズ・コーポレーションは、英国で最も人気の高い大衆紙だったニューズ・オブ・ザ・ワールドの廃刊のみならず、巨額の損害賠償の支払いを余儀なくされた。(c)AFP