【6月12日 AFP】米オハイオ(Ohio)州クリーブランド(Cleveland)の住宅で女性3人を約10年にわたって監禁したとして、誘拐や強姦(ごうかん)、殺人などの罪に問われているアリエル・カストロ(Ariel Castro)被告(52)は、12日に行われる罪状認否で無罪を主張するとみられる。

 事件は、アマンダ・ベリー(Amanda Berry)さん(27)が近隣住民に助けを求め、鍵のかかった正面玄関から6歳の娘と逃げ出したことで明るみになった。警察当局は住宅からさらに2人の女性、ジョージーナ・デヘスース(Georgina DeJesus)さん(23)とミシェル・ナイト(Michelle Knight)さん(32)を発見。3人は2002年、2003年、2004年に別々に誘拐されていた。

 カストロ被告は前週、329の訴因で起訴された。女性たちが妊娠した際、流産するまで腹部を暴行したとして加重殺人罪にも問われており、有罪となれば、同州では死刑判決が言い渡される可能性もある。

■地下に鎖でつながれ、暴行と強姦の悪夢

 起訴状が扱っているのは、3人が監禁されていた期間のうち最初の5年間のみだが、3人が受けた苦しみの一部が垣間見える。

 最初に監禁されたナイトさんは、地下室の柱に鎖でつながれ、繰り返し強姦と暴行を受け、少なくとも4回妊娠した。

 ベリーさんは誘拐された夜に逃走を試みたが、打ちのめされ、強姦された。ベリーさんは脚と口にテープを貼られ、地下室の柱に鎖でつながれ、頭にオートバイ用のヘルメットをかぶせられた。またその夜、カストロ被告はベリーさんの首に掃除機のコンセントを巻き付けたという。

 デヘスースさんも誘拐された夜に鎖とテープで地下室につながれて殴打され、わいせつ行為を受けた。だが当時14歳だったデヘスースさんがカストロ被告に性行為を強要されたのは、誘拐から1か月後だった。

■流産させるまで絶食と暴力

 流出した警察の調書は、さらにおぞましい詳細を明らかにしている。

 カストロ被告は、ナイトさんを流産させようとして、2週間以上にわたって絶食させ、流産するまで何度も腹部を殴った。

 またベリーさんの娘が生まれた際には、ビニール製の子供用プールを家の中に持ち込み、出産時の排出物などが散らからないようにと、強制的にプールの中で出産させた。その際、ナイトさんには出産を手伝うよう命じ、子供がもしも死んだら、ナイトさんを殺すと脅した。この恐怖の2006年12月25日、生まれたばかりのジョセリンちゃんの呼吸が止まり、ナイトさんは必死で人工呼吸した。

 女性たちによれば、監禁初期の数年間は地下室で鎖につながれていたが、その後は鍵がかかった家の中で、鎖をつけずに上の階で暮らすことを許されていた。

 しかし、カストロ被告の家族を含め、密室で起きていることに気づく人はいなかったという。

「(カストロ被告が)女性たちに対し、支配力を持っていたのかもしれないが、まだ分からいない。それが分かるには、長い時間がかかるだろう」と、警察署長代理のエド・トンバ(Ed Tomba)氏は、カストロ被告逮捕の直後に語っていた。(c)AFP/Afi-Odelia Scruggs