【6月7日 AFP】米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)がオバマ現政権下で、数百万件にわたる米市民の通話記録を収集していたと、英紙ガーディアン(Guardian)が5日の電子版で報じ、波紋が広がっている。翌6日には、米当局による大規模なインターネット監視プログラムの存在も明らかになり、新たな怒りの声が上がることは必至だ。

 ガーディアン紙の記事では、米通信大手ベライゾン(Verizon)に記録提出を命じた機密令状のコピーに基づき、収集活動の内容を詳細に報じている。外国情報活動監視裁判所(Foreign Intelligence Surveillance CourtFisa)が7月中旬までの3か月の期限で、米連邦捜査局(FBI)に付与した令状で、ベライゾンには米国内外の同社回線を通じたすべての通話に関する情報提供が毎日求められているという。

 またガーディアン紙と米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)が6日報じたところによると、NSAは2007年に開始された「PRISM(プリズム)」と呼ばれるプログラムの下で、マイクロソフト(Microsoft)、グーグル(Google)、フェイスブック(Facebook)、アップル(Apple)といった米インターネット大手企業9社のサーバーから動画や写真、電子メールを直接収集していたという。

 一方、米政府は同日、通話記録の収集は「テロとの戦い」における重要なツールだと正当化。プログラムは合法であり、通話内容を盗聴したり通話者の名前をたどるのではなく、電話番号や通話時間といったデータのみ収集すると説明している。

 NSAの通話記録収集プログラムは、2001年の米同時多発テロ事件後にジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領の下で施行された広範囲にわたるテロ対策法の一環で、ブッシュ政権中に報道され明るみとなった。しかしそうした活動を承認した前政権の法を見直したとするオバマ現政権下で、同様の活動の存在が示されたのは初となる。(c)AFP/Stephen Collinson