エベレスト山中で「恐怖の」乱闘、目撃者が語る
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【4月29日 AFP】世界最高峰エベレスト(Everest)を登山中の欧州の有名登山家2人とネパール人ガイドらの間で起きた「恐怖の」乱闘について、目撃した登山家が29日、AFPに当時の状況について語った。この乱闘は現在、「事件」として地元警察当局が捜査を行っている。
乱闘事件は27日に起きた。スイス国籍で登山記録保持者のウエリ・シュテック(Ueli Steck)さんと、エベレストを4回登頂したイタリアのシモーネ・モロ(Simone Moro)さんは、標高7470メートルにあるエベレストのキャンプ3まであと少しのところまで来ていた。
匿名を条件にAFPの電話取材に応じた米国人の目撃者によると、ロープを取り付けるまでしばらく待つよう言われていたシュテックさんとモロさんだが、2人はシェルパの指示を無視して登山を続けたという。2人はカメラマン同行のもと、「未公開」の新たなルートで無酸素登頂を目指していた。
「シェルパたちは、ロープを直している間は、自分たちより高い位置を登らないでくれと2人に頼んだが、2人は結局登り続けた。やがて(下にいる)シェルパたちに氷が落下して、それでシェルパたちは腹を立てた」と、目撃者は語った。
同日後刻、登山家2人のテントに、ネパール人の集団が詰めかけ、テントに向け投石を始めた。登山家2人がテントから出てくると、大声で口論が始まり、殴り合いが起きたようだったという。
「集団が去った後、登山家2人は荷物をまとめ、私たちを通り越して山を下り始めた。私たちの知る限り、彼らは下山するようだった」と目撃者は付け加えた。「恐ろしい光景だったよ──2人は殺されかけたんだ」 地元当局者によると、地元の警察当局は事件について捜査を進めているという。
登山家2人のチームを組織したカトマンズの企業、チョオユ・トレッキング(Cho-Oyu Trekking)のアニシュ・グプタ(Anish Gupta)氏は「クライアントがシェルパの指示に従わず、氷に覆われたルートを先に進んだと聞いている」と語った。「ある時点で、外国人登山家らが後方に氷を蹴り、それがシェルパガイドの1人に当たって、乱闘が始まったと理解している」
シュテックさんは一時下山し、病院で一夜を過ごしたが、負傷はしていないという。29日朝にベースキャンプに戻り、そこでモロさんと登頂再挑戦するかどうかを検討すると報じられている。(c)AFP/Kyle Knight