【4月21日 AFP】インドの首都ニューデリー(New Delhi)市内で誘拐され、強姦や虐待を受けた5歳の女児について、担当医師団は20日、女児は意識があり、容体は安定していると発表した。こうした中、警察当局は同日未明、東部ビハール(Bihar)州で事件の容疑者を拘束。国内では事件を契機に、性暴力への抗議の声が新たに高まっている。

 事件は現地各紙の一面で、「(ニュー)デリーの恥さらし、再び」「堕落したデリー」といった見出しで伝えられた。被害者の女児は40時間余りに及んだ監禁と暴行で重傷を負い、国内でも有名な政府系医療機関、全インド医学研究所(All India Institute of Medical Sciences)で手当てを受けている。

 医師団のD・K・シャルマ氏は記者団に対して、女児は意識がしっかりしていると述べた上で、回復には矯正手術が必要な可能性があると語った。

 この事件に関してビハール州で拘束されたのは、衣料生産の従業員マノジ・クマール(Manoj Kumar)容疑者(22)。州都パトナ(Patna)の警察関係者はAFPに対し、犯行は「怪物のような行為だ」とコメントした上で、同容疑者を強姦と殺人未遂、不法監禁の疑いで取り調べたことを明らかにした。裁判のため、同容疑者はニューデリーに移送される予定という。

 現地メディアの報道によると、クマール容疑者は女児の自宅の賃借人で、逃走先であるビハール州の親戚宅で拘束された。警察当局は、同容疑者が15日にニューデリー市内の下位中流層の居住区から女児を誘拐した後、部屋に鍵をかけて監禁し、繰り返し暴行した疑いがかけられているとしている。

 医師団は、女児の身体の切断箇所や内部のひどい損傷、感染症を確認したことを公表。ニューデリー警察のプラバカール主任捜査官は、女児が「40時間余り監禁されていた部屋に、死んだものとして放置されていた」と語った。
 
 事件を受けてニューデリー市内では、女性や子どもの保護強化を求めるデモが2日間にわたって行われた。警察当局は強姦事件の抑制を求める国民の強い圧力にさらされているものの、複数のメディアによると、警察は捜査に消極姿勢を示し、事件を忘れるよう説得するため女児の父親に金を渡そうとしていたという。こうした報道は、デモ参加者らの猛反発を招いた。(c)AFP/Pratap Chakravart