【4月19日 AFP】国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)専務理事(57)が、仏サルコジ前政権の財務相だった2007年に実業家と旧国営銀行間の係争に不正に介入したとされる職権乱用疑惑で、仏司法当局がラガルド氏に出頭を命じていることが明らかになった。

 ラガルド氏の弁護士が18日に発表したところによれば、同氏は証言のため、5月下旬に出頭するよう命じられている。

 捜査の焦点となっているのは、フランスの元政治家で実業家のベルナール・タピ(Bernard Tapie)氏が、1993年にスポーツ用品大手アディダス(Adidas)の株式を売却した際に旧国営銀行クレディ・リヨネ(Credit Lyonnais)との間で起きた係争問題を、2007年にラガルド氏が調停委員会に移すとした決定。調停の結果、クレディ・リヨネからタピ氏に対し、公的な資金から約4億ユーロ(約497億円)の賠償金が支払われている。

 閣僚の不正行為を捜査する共和国法院(CJR)の検察官らは、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)前大統領の2007年と2012年の大統領選挙の際に、タピ氏がサルコジ氏を支持する見返りに便宜を受けたのではないかと疑っている。

 検察側は、ラガルド氏の介入には「疑わしい点がある」とし、詐欺や公金横領の共犯に問われかねない「多くの異例の事態や不正行為」について、ラガルド氏に部分的責任があるとみている。

 CJRは前月、パリにあるラガルド氏の自宅を家宅捜索したが、同氏は現時点では罪を問われていない。(c)AFP/Angus MacKinnon