【4月18日 AFP】米連邦捜査局(FBI)は17日、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領宛てに不審な封書が届き、初期検査の結果、猛毒リシンの陽性反応が出たと発表した。

 米大統領警護隊(シークレットサービス、US Secret Service)によると、オバマ大統領宛ての封書は16日、ホワイトハウス(White House)外部の郵便物検査所で発見され、大統領の手元に届くには至らなかった。当局は同日、ロジャー・ウィッカー(Roger Wicker)上院議員(共和党)宛ての封書からもリシンが検出されたと発表している。

 リシンは毒性のタンパク質で、吸入すると呼吸困難を引き起こす恐れがあり、経口摂取すればごく微量でも死に至る。

 FBIの声明によると、オバマ大統領およびウィッカー上院議員宛ての2つの封書の検査は継続中で、リシンが本当に混入しているかどうか最終確認を行うため、今後24~48時間にさらなる検査が実施されるという。ただし、15日に発生したボストン・マラソン(Boston Marathon)での爆発事件との「関係性を示すものはない」としている。

 また米国会議事堂でも不審物が見つかったと報じられたため、上院の2つの建物で一時的に出入りが制限された。しかし議会警察が後に発表したところによると、検査の結果異状は見つからなかったとして、立ち入り制限は解除された。ある議会警察関係者はAFPに対し、「1人の男から事情聴取を行っているが、身柄は拘束していない」と語った。

 これら封書は、180人以上が死傷したボストン・マラソンでの爆発の直後に見つかったことから、緊張はさらに高まっている。またこの事件は、2001年9月11日の米同時多発テロ後に、炭疽菌が混入した封書が議員やジャーナリスト宛てに送付され、5人が死亡、17人が健康被害を受けた事件の記憶を呼び起こした。議員宛ての郵便物はこの事件をきっかけに、外部施設で検査されるようになった。(c)AFP