フィリピンのサンゴ礁で中国船が座礁、実はセンザンコウ密輸船
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【4月16日 AFP】世界遺産に登録されているフィリピン沖のトゥバタハ岩礁海洋公園(Tubbataha Reef National Marine Park)で座礁した中国船から、食用に密猟されたとみられるセンザンコウが大量に見つかった。フィリピン沿岸警備隊が15日、明らかにした。
センザンコウは体がうろこに覆われた有鱗目(ゆうりんもく)の哺乳類。国際法で保護の対象になっており、うち2種は国際自然保護連合(International Union for the Conservation of Nature、IUCN)の「レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)」に掲載されている。だが肉や皮、うろこの需要が高いことからアジアの広い地域で密猟が横行している。特に中国では珍味として知られ、医学的効果もあると信じられている。
フィリピン沿岸警備隊の報道官は、トゥバタハで座礁した全長48メートルの中国船の船内で先週、センザンコウが入った箱400 個を発見して押収したと述べた。センザンコウは1匹ずつラップに包まれ、大きな袋の中に隠されていたという。フィリピン当局は密漁とフィリピン当局者の買収未遂の容疑で中国人の漁民12人を逮捕したが、12人はセンザンコウの密猟にも関わっていた可能性もある。
世界自然保護基金(World Wide Fund for Nature、WWF)フィリピン支部は、押収されたセンザンコウがフィリピンで密猟したものであればフィリピンの野生生物保護法を適用すべきだという見解を示した。フィリピンの法律では、当該種が絶滅する恐れがどの程度あるかにもよるが、最高で禁錮12年の刑を受ける可能性がある。
トゥバタハ岩礁海洋公園の管理事務所によると、中国船の座礁でサンゴ礁にも被害が出ているという。近年、中国とフィリピンの関係は南シナ海(South China Sea)での領有権をめぐって緊張が高まっている。(c)AFP