【4月14日 AFP】エジプト・カイロ(Cairo)の裁判所で13日、反政府デモ参加者の殺害を命じた罪などで終身刑を言い渡されたホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)前大統領の再審理の公判が開かれたが、裁判長は開廷後まもなく審理を控訴院(Court of Appeal、高等裁判所)に移すことを決め、審理はわずか数秒で終わった。

 ムバラク前大統領は、2011年1月25~31日に平穏なデモを行った数百人に対する殺人と殺人未遂の罪で昨年6月に一審で終身刑が言い渡されたが、エジプト破棄院(日本の最高裁に相当)は今年1月、裁判のやり直しを命じる決定を下していた。

 ムスタファ・ハサン・アブドラ(Mostafa Hassan Abdallah)裁判長は13日の審理の冒頭、自分はこの審理の担当から外れると述べるとともに、審理を控訴院に送ると述べた。裁判官らが退廷すると、傍聴していた人々が叫び声を上げたり腕を振り上げたりして法廷は騒然となった。市民グループ側の弁護士らが「人々は大統領の死刑を望んでいる」と叫ぶ一幕もあった。

 アブドラ裁判長は昨年10月、ムバラク政権崩壊につながった2011年の反政府行動の際、ラクダや馬に乗った人々がデモ隊を排除しようとしたいわゆる「ラクダの戦い」で罪に問われた被告人に無罪を言い渡していた。被害者遺族の弁護士は、「裁判長は『ラクダの戦い』で被告人を全員無罪にしており、彼らの立場には大きな疑問がある」と述べ、そのため同裁判長はムバラク前大統領の審理から身を引いたのではないかと語った。(c)AFP/Samer al-Atrush