【3月11日 AFP】インドの首都ニューデリー(New Delhi)で2012年12月に起きた女子学生(当時23)への性的暴行死事件で、殺人などの罪で起訴されていた被告の1人が11日、勾留施設内で首をつって死んでいるのが見つかった。真実が明らかになる前の被告の死亡に、被害者女性の遺族からは怒りの声も上がっている。

 死亡したのは、事件で起訴されている5人の男と少年1人のうち、主犯格でバス運転手のラム・シン(Ram Singh)被告。シン被告が収監されていたデリー(Delhi)郊外の勾留施設関係者によると、被告は11日未明、縄状に結び合わせた自分の衣服を格子から垂らし、これに首をつった状態で死んでいるところが発見された。

 シン被告の死は自殺とみられているが、被告側の家族や弁護士は、シン被告には数年前の交通事故で片手を負傷した後遺症が残っており片手だけで自殺ができるわけがないと主張。被告の死を殺人事件として捜査するよう求めた。

 被告の父親は、「6日前に面会した時、(シン被告は)房内の別の者から性的暴行を受け、命の危険を訴えていた」と述べ、母親もまた、被告の体には拷問されていたことを示す傷跡が多数あったと話している。

 シン被告は2012年12月16日夜、起訴された5人らと飲食した後、運転する無認可の児童送迎用のバスでニューデリーの街へと繰り出し、一般バスと間違える市民を引っかけようと企んだとされる。犯行当時、被告らは泥酔状態だったという。

 事件ではシン被告のほか、仲間の男4人と少年1人が起訴されている。いずれも無罪を主張しているが、男ら4人には死刑が適用される可能性もある。一方、少年裁判所に起訴された17歳の少年は、最高で禁錮3年の刑が言い渡される。(c)AFP/Rupam Jain Nair