【3月1日 AFP】南アフリカ警察は28日、警察のワゴン車で市街を引きずられる様子が動画に収められていたモザンビーク人男性が死亡したことを受け、殺人事件として捜査を開始した。国内では警察に対する怒りの声が高まっている。

 現場に居合わせた人が撮影した動画には、ヨハネスブルク(Johannesburg)の東に位置するデフェイトン(Daveyton)で26日、タクシー運転手のミド・マシア(Mido Macia)さん(27)が6人ほどの警察官ともみ合いになり、その後手錠で警察のワゴン車の後方につながれ、近くの警察署に向かって引きずられて行く様子が収められている。

 マシアさんは車で引きずられまいと、脚をばたつかせ必死に抵抗しながら、デフェイトン警察署まで連行された。捜査官によると、それから2時間25分後に死亡が確認されたという。検視の結果、死因は内出血を伴う頭部損傷と判明した。

 目撃者などによると、事件の発端は、マシアさんが受けた違法駐車の取り締まりだった。警察官が運転免許証を没収しようとしたところ、口論に発展した。警察当局は、マシアさんが警官の1人から銃を奪おうとした可能性を示唆したが、目撃者の1人はこれを否定した。

 事件の様子を収めた動画はインターネット上で広がり、国内中に衝撃を与えた。南ア警察は、2012年8月に鉱山の労働争議で警察官の発砲により労働者34人が死亡した事件や、義足ランナー、オスカー・ピストリウス(Oscar Pistorius)被告の殺人事件の対応でも強い批判を受けており、今回の事件でさらに汚名を重ねる形となった。(c)AFP/Sibongile Khumalo