【3月2日 AFP】中国の国民的歌手、李双江(Li Shuangjiang)氏の息子が集団強姦とみられる事件に関与した疑いで拘束された事件について、インターネット上で怒りの声が巻き起こる中、中国共産党機関紙の人民日報(People's Daily)は25日、「大変な努力」をしたことのない世代を嘆く社説を掲載した。

 中国人民解放軍歌舞団の歌手、李双江氏の息子である李冠豊(Li Guanfeng)容疑者(17)は、17日に起きた性的暴行に関する容疑で21日に身柄を拘束された。国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は北京(Beijing)の警察筋の話として、李容疑者を含めた5人が飲酒後にホテルの部屋で女性1人を集団強姦した容疑で逮捕されたと伝えている。李冠豊容疑者は2011年にも若い夫婦を殴打して負傷させ、矯正施設で1年間を過ごし、世間から非難を浴びた。

 中国ではエリート層の子どもによる犯罪に対し、一般国民から特に激しい怒りが沸き起こる。今回のニュースもインターネットの掲示板やニュースサイト、国営新聞などで話題を独占した。国営環球時報(Global Times)は25日朝、この事件に関して92万7000件の投稿があったと発表した。

 ネットユーザーの多くは、李容疑者の母で人気歌手の夢鴿(Meng Ge)さんが「息子にいつかノーベル賞をとって欲しい」と語ったインタビューを引用し、中国版ツイッターの新浪微博(Sina Weibo)のあるユーザーは「私が知る限り、刑務所に行くことはノーベル賞受賞の前提条件ではないはずだ」と皮肉を述べた。また、別のユーザーは「息子にノーベル賞を、という夢鴿の希望がかなうことはなさそうだ。李双江はひどい過ちを犯してばかりいる息子を無制限に許してきた」とつぶやいた。

 人民日報は25日付の社説で、著名人は「家族教育」を「抜かりなく」行わなければならないと論じた。「こうした子どもたちの多くは、両親が成功を収めるために必要とした大変な努力を経験したことがなく、成功の結果だけを与えられている」と述べ、「欲しいものを何でも手に入れることに慣れ、問題は全て解決してもらい、逃れるために父親の名前を使い、裕福さをひけらかすことを当然と考え、法律を破ることを勇敢な行為とみなしている」と批判した。(c)AFP/Neil Connor