【2月10日 AFP】米オハイオ(Ohio)州ベルゴルツ(Bergholz)で信者らと共同生活を送っていたキリスト教の一派アーミッシュ(Amish)の指導者、サミュエル・マレット(Samuel Mullet)被告(67)に8日、禁錮15年の量刑判決が言い渡された。信者らに指示して対立するグループのリーダーなどを襲撃させたとして、昨年9月にヘイトクライム(憎悪犯罪)の罪で有罪が言い渡されていた。

 検察側によると、小規模なアーミッシュの共同体のリーダーだったマレット被告は、間にもめごとを抱えていた9人に対して「テロ行為」を計画。犯行グループは2011年9~11月の間に5回にわたって被害者らを襲い、馬のたてがみを切る大ばさみや充電式シェーバーで被害者らのひげや髪をそり落とした。被害者は指導者としてのマレット被告に疑問を呈した人たちで、被告の親族も含まれていた。

 さらにマレット被告は、ひげや髪をそり落とされた後の被害者の写真を撮らせ、他の信者らの間でそれらを回覧させていた。ひげと長髪を神への信仰の象徴と考えるアーミッシュの社会では、これらをそり落すことは、相手を辱める行為にあたる。

 一方、被告の指示で襲撃を実行した信者15人には、1~7年の禁錮刑が言い渡された。15人のうち3人はマレット被告の兄弟で、6人は女性だった。

 現代的なテクノロジーの大半を拒否し、一般社会から隔絶した伝統的な暮らしを続けるアーミッシュは平和なコミュニティを築いているとされてきた。この事件は、そのアーミッシュ社会の内側を垣間見ることができる数少ない機会として、米メディアの高い関心を集めた。(c)AFP