【2月4日 AFP】英ロンドン警視庁(Scotland Yard)が死亡した子供たち約80人の個人情報を盗用し、おとり捜査官の身分証明書の作成に利用していたと、英紙ガーディアン(Guardian)が3日報じた。

 同紙の調査によると、ロンドン警視庁では30年以上にわたり、抗議団体などに潜入させる捜査官の偽名として死亡した子供たちの氏名を親に無断で借用し、パスポートや運転免許証などを取得していたという。同紙は、1968~1994年の間に約80人の捜査官が死亡した子供の個人情報を使ったことを示す文書を確認したとしている。

 およそ10年に及んで同じ偽名を使い続けた捜査官もいたという。

 ガーディアン紙の調査に匿名で証言したある捜査官は、反人種差別団体に対する覆面捜査を担当していた当時、4歳で死亡した男児「ピート・ブラック」くんの個人情報を利用していたと明かした。「その男の子の墓を踏みつけているような気持ちだった」という。一方、別の捜査官は、こうした手法は「大義のため」には正当化できると主張した。

 いずれの捜査官も、2008年に解体されたロンドン警視庁公安課の特別班に所属していた。

 ロンドン警視庁はこの報道について、最近ではこうした捜査手法は行われていないと弁明するとともに、「過去の習慣」について現在調査を行っていると発表した。(c)AFP