【12月28日 AFP】インドで11月に集団暴行の被害に遭った少女(17)が、警察から被害届を取り下げて実行犯の1人と結婚するよう圧力をかけられ自殺していたことが27日、親類の話や警察発表で明らかになった。

 少女は11月13日、北部パンジャブ(Punjab)州パティアラ(Patiala)で、ヒンズー教の大祭の1つ「ディワリ(Diwali)」の最中に集団暴行の被害に遭った。地元警察当局がAFPに語ったところによると、少女は「被害届を出そうと手を尽くした」が、捜査が開始されることはなかった。そればかりか「警察官の1人は少女に被害届を取り下げるよう、説得しようとした」という。

 少女は26日夜、遺体で発見された。服毒自殺だったという。少女の家族は同国テレビネットワークNDTVに、少女が金銭での示談に応じるか、実行犯のうちの1人と結婚するよう警察から圧力をかけられていたと証言した。

 事件後、警察当局は警官1人を免職処分に、1人を職務停止処分に処した。27日の時点で、暴行容疑などで男2人と共犯の疑いで女1人が拘束されているが、逮捕者はまだない。

■ニューデリーではバスに乗った女性が集団暴行で重体

 インドでは16日にも、首都ニューデリー(New Delhi)市内を走るバス内で女子学生(23)が同乗していた男6人に次々と強姦され、頭を鉄棒で殴られたうえ連れの男性(28)ともども走行中の車両から突き落とされる事件が発生している。一連の事件の発生を受け、暴行事件に対する警察の対応には厳しい目が向けられている。

 女子学生はインドで3回の手術を受けた後、27日にシンガポールの病院に移送され治療を受けているが、病院側の発表によれば心臓発作も併発しており危機的な状況という。

 またPTI通信によれば、北部チャッティースガル(Chhattisgar)州でも、レイプ事件の被害届を拒否した警察官1人が職務停止処分を受けているという。被害者の女性は夫とともに警察の上層部に直訴したことから、警察は容疑者とみられるオートリキシャ(自動三輪)運転手の行方を追っているという。

 政府統計によれば、2011年にインド国内で記録された25万6329件の暴力犯罪のうち、22万8650件で女性が被害に遭っている。しかし警察に届け出ない女性も多いため、実際の被害者数はこれを上回るものと見られている。(c)AFP