【12月7日 AFP】ロシア極東サハ共和国の森林地帯へ8月に釣りに出かけたきり行方不明になっていた男性4人組のうち、今月になって2人が救助された。警察は5日、この2人が生き残るために仲間の男性を殺害して食べた疑いがあるとして捜査を開始したことを明らかにした。

 4人は8月、世界でも最も過酷な環境といわれる最果ての地サハ共和国に釣りに出かけたまま、行方が分からなくなっていたが、今月になって37歳と35歳の男性2人が同共和国南部のネリュングリ(Neryungri)から250キロ離れた川沿いで発見された。しかし、残る2人の姿はなかった。

 救助された2人は、一行が2人ずつ2組に分かれて行動していたと説明し、他の2人は野外生活に慣れていたから生存しているはずだと話したという。

 ところが、救助現場の近くから人間の遺体の一部が見つかったことから、首府ヤクーツク(Yakutsk)から出動した警察が殺人事件として捜査を始めた。捜査関係者によると、見つかったのは切断された人骨と頭蓋骨の破片、血痕のついた氷の塊で、惨殺されたと思わせる痕跡もあった。 この遺体の身元は特定されていない。

 ロシアのニュースサイト「lifenews.ru」は、救助された2人は重度の凍傷を負っていたが、手当てを受けていた病院から逃走したと報じた。

 ロシアには食人行為を裁く刑法は存在しないが、国営ロシア通信(RIA Novosti)は救助された2人が仲間の1人を食べたとの見方を報じている。4人目の男性の消息については明らかになっていない。

 4人のうち2人は地元サハ共和国に住む男性で、残る2人は露中部サラトフ(Saratov)州から同地を訪れていた。(c)AFP/Stuart WILLIAMS