【12月3日 AFP】中米ベリーズで起きた殺人事件をめぐり警察当局に出頭を求められ、数週間にわたって逃走中の米インターネット・セキュリティー大手マカフィー(McAfee)創業者、ジョン・マカフィー(John McAfee)氏(67)の公式ブログは1日、同氏が身柄を拘束されたとの報告を受けたと発表した。

 マカフィー氏の公式ブログ「whoismcafee.com」は1日、「ジョン・マカフィーがベリーズとメキシコの国境沿いで身柄を拘束されたという未確認の報告を受け取った」と掲載した。同ブログは、隣人を殺害したとする容疑やメディアの報道は「誤りだ」と主張するマカフィー氏が反論するために立ち上げたもので、さらに詳しい情報が入り次第伝えると述べている。

 警察当局は、米フロリダ(Florida)州出身のグレゴリー・フォール(Gregory Faull)さん(52)がカリブ海のアンバーグリス・キー(Ambergris Caye)島の自宅で遺体で発見された殺人事件について、隣人のマカフィー氏に事情聴取を行いたいだけだと述べていた。

 警察の報告書によると、フォールさんは背後から頭部を撃たれ、血の海の中で死んでいた。何者かが押し入った形跡はなく、ノートPCと携帯電話がなくなっていたという。

 マカフィー氏の飼っていたイヌの鳴き声と攻撃的な態度が、マカフィー氏とフォールさんの間のトラブルの原因になっていたとされている。

 一方、マカフィー氏は、地元政治家への寄付を拒否して以降、当局者と衝突しており、身の危険を感じて逃走したと述べている。

 在ベリーズ米大使館の職員は匿名を条件に取材に応じ、マカフィー氏と親しかったカルメリタ(Carmelita)の住民はマカフィー氏の身柄が拘束されたという情報を否定していると述べた。地元警察も身柄拘束の情報はないと述べている。

■潜伏先からCNNのインタビューに応じる

 マカフィー氏のブログが逮捕情報を掲載する前日の11月30日、同氏は米CNNで逃走後初めてカメラ撮影のあるインタビューに応じ「出頭することはない。闘争をやめることも決してない」と語り、フォールさんの殺害を否定した。また「楽しいという状態ではまったくない。以前の生活が恋しい。ほとんどが失われてしまった。風呂にも入れず、食事もまずい」とも述べた。

 マカフィー氏は、恐怖のあまり、使い捨て携帯電話を最高で12台ほど持ち歩いているという。1か月ほど前の逃走以来、使い捨て携帯電話を200台は使ったと語る。

「何かが変わるまで闘いを続ける。逃亡とは国を離れることを意味するわけではない。それはまず第1にフォール氏殺害の犯人を見つけることであり、第2にこの国の人々──語ることを恐れている人々──が声を上げ始めることを意味する」ともマカフィー氏は述べた。

 また同氏は、飼っていた4頭のイヌが何者かに毒を盛られたと語った。イヌたちを悲惨な状況から救うために4頭とも自分の手で射殺し、自邸の敷地内に埋めたという。またブログでは、警察の家宅捜索中に別のイヌ1頭も何者かに毒を盛られたと主張している。

 CNNによるとこのインタビューは複数の仲介者を通じ、連絡には複数の異なる番号の電話が使われ、暗号による応答が必要な「安全な隠れ家」で会見するというスパイ小説仕立ての過程を経て実現したという。(c)AFP