【11月20日 AFP】オーストリア・ウィーン(Vienna)で19日、元夫と交際相手の男性2人を殺害し、遺体をバラバラに切断して隠した罪で起訴された女の公判が開かれ、被告自らが事件当時の様子について供述した。

 Goidsargi Estibaliz Carranza Zabala被告は、2008年に元夫を、2010年に当時の交際相手の男性をそれぞれ銃で殺害したと述べた。遺体はアイスクリーム店の倉庫としても使っていたアパートで冷凍した後にチェーンソーで切断し、コンクリートで固めたという。このことから事件は「アイスクリーム殺人事件」と呼ばれている。

 事件は2011年6月、メンテナンスが行われた際に遺体が発見されて発覚した。被告はイタリアに逃亡したが数日後に身柄を拘束され、オーストリアに送還された。

 被告は2008年の事件の動機は元夫が暴力的で離婚後も家を出ようとしなかったからだと述べた。2010年の犯行については、酒に酔ってけんかをした後に男性が眠ったところを元夫の殺害に使用したのと同じベレッタ(Beretta)の22口径の拳銃で撃って殺害したと供述した。

■2人目の殺害前には射撃のレッスンも

 2人目の犠牲者は被告より20歳ほど年上のアイスクリームのセールスマンだったが、交際を始めて間もなく2人の関係は悪化し、被告は「自分が刑務所に入れられたような気がしていた」という。2人目の殺害の前に被告は射撃のレッスンと、地元の工具店が開いたコンクリートの作り方講座を受講していた。

 逮捕時に妊娠2か月だった被告は今年1月に出産し、3月にはこの子どもの父親と拘置所で結婚した。現在の夫は殺害した2人とは正反対の優しい人物で、自分を殺人に追い込むようなことはしなかっただろうと述べた。

 検察側は、被告は優しく行儀の良い人間を演じようとしているとしているが、同時に冷酷な殺人者でもあると指摘し、「だまされないように」と主張した。

 裁判所が命じた精神鑑定では、被告は危険な人物で「王女さまのように男性に救われることを望んでいる」と判断されている。公判は約50人の証人と7人の専門家が出廷して数日間かけて行われる予定。(c)AFP/Simon STURDEE