【11月20日 AFP】違法臓器売買への国際犯罪の関与を調べるためオランダのロッテルダム大学(University of Rotterdam)エラスムス医学センター(Erasmus Medical Centre)が、欧州警察機関(ユーロポール、Europol)の支援を受けて、国際調査を主導しようとしている。

 同センターは15日、「臓器に対する需要は非常に強く、そのため患者が他国へ行き、売買されたと思われる臓器の移植を受ける『臓器ツーリズム』が行われていることをうかがわせる事例が増えている。そうした臓器の提供者は人身売買の犠牲者であることが多い」などとする声明を発表した。「こうした事態がどの程度の頻度で起きているのか、犯罪組織や医師、その他の者たちがどのように関与しているのかについてはあまり知られていない」と指摘し、「この深刻かつ比較的新しい犯罪形態とよりうまく戦うために情報を収集したい」としている。

 調査は欧州委員会(European Commission)が資金を出して今後3年にわたって行われる予定で、売買対象の臓器(腎臓や肝臓が多い)の違法摘出の実態に焦点を当てるという。

 ルーマニア、スウェーデン、ブルガリア、スペインの関係機関のほか、国連薬物犯罪事務所(United Nations Office on Drugs and CrimeUNODC)、欧州の臓器移植ネットワークであるユーロトランスプラント(Eurotransplant)、欧州臓器移植学会(European Society for Organ Transplantation)も協力する。

 過去には、生きた捕虜からの臓器摘出を含む1990年代のコソボ解放軍(Kosovo Liberation ArmyKLA)による臓器売買疑惑について国際調査が行われたことがある。欧州会議(Council of Europe)のディック・マーティー(Dick Marty)報告者は2010年の報告書で、現コソボ共和国首相のハシム・サチ(Hashim Thaci)氏を含むコソボ解放軍の司令官らが組織犯罪に関与していたと指摘した。(c)AFP