【11月8日 AFP】東京電力女性社員殺害事件の再審で、東京高裁は7日、殺人の罪で15年服役したネパール国籍のゴビンダ・プラサド・マイナリ(Govinda Prasad Mainali)さん(46)に無罪を言い渡した。

 1997年、東京のアパートで東電女性社員が遺体で見つかり、女性と知り合いで近くのビルに住んでいたマイナリさんが殺人容疑で逮捕された。東京地裁は無罪判決を下したが、東京高裁は2000年、無期懲役の逆転有罪を言い渡し、03年に最高裁で確定した。

 一貫して無罪を主張していたマイナリさんは、05年に再審請求したが、今年になってようやく東京高裁が再審を認めた。また同じく今年に入って新たに実施されたDNA鑑定で、当時の捜査で、被害女性の体内にあった精液がマイナリさんのものではないことを見逃していた事実が判明。報道によると、女性の爪や部屋に落ちていた体毛から検出されたDNAが精液の型と一致したことから、マイナリさんの無罪の主張がさらに裏付けられた。

 無罪が確定したマイナリさんは7日、ネパールの首都カトマンズ(Kathmandu)で記者会見し、長い間待ち続けたこの無罪判決について次のように語った。「この日を迎えるために、四方を壁に囲まれた独房で自分自身との静かな対話を重ねて15年間過ごした。私は神に祈り、尋ねた。私がどのような過ちを犯したというのですか、と。神は私の主張に対する唯一の証人だった」

 マイナリさんは「無罪にもかかわらず、おぞましく拷問のような獄中生活を15年も強いられた。もしDNA鑑定が実施されなかったら刑務所で力尽き、恐らく死んでいただろう」と語った。(c)AFP/Hiroshi Hiyama