【10月5日 AFP】インドネシア国営ガルーダ航空(Garuda Indonesia)の旅客機で同国スマトラ(Sumatra)島からジャワ(Java)島の保護センターへ移送されていた希少種のスマトラトラが、臭いとの乗客の苦情を受けて経由地から送り返され、途中で死んでいたことが分かった。

 この8歳の雄のスマトラトラは、2010年にアチェ(Aceh)州で保護された個体。野生保護当局のアファン・アブソリー(Afan Absory)氏によると他の動物とともに2日、スマトラ島北部のバンダアチェ(Banda Aceh)からジャワ島にある保護センターへ空路移送された。ところが、乗客から不快な臭いがするとの苦情を受けたガルーダ航空が、経由地のメダン(Medan)で動物たちを別便に載せ替え、バンダアチェに送り返してきたという。

 バンダアチェに到着した時点で既にスマトラトラは死んでおり、鼻から出血していたという。スマトラトラと同じ便に乗せられていた動物の中には、強い臭いを発するテナガザルとレッサーパンダが含まれていた。

 アブソリー氏は、ガルーダ航空が問題の機に搭乗して動物たちに同行していた保護当局者に断りなく動物を送り返した点について、同航空に説明を求めていると話した。

 スマトラトラは、野生での生息数は世界でも400頭に満たないとされる希少種で、環境活動家らによると森林伐採などで生息地が減り続け、人間との接触が増えているという。死んだトラが保護されたアチェ州でも、人間の生活圏拡大でスマトラトラの生息地がおびやかされている。(c)AFP