【9月10日 AFP】イラクのヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相を批判する最高位の人物で殺人など約150の罪に問われ、本人不在のまま5月から裁判が行われていたタリク・ハシミ(Tareq al-Hashemi)副大統領に9日、死刑判決が出された。

 今回の裁判では約150の罪のうち、女性弁護士、軍の准将、治安当局高官の殺害について扱われた。9日の公判の冒頭、検察側はハシミ副大統領に女性弁護士と准将の殺害について死刑にするよう裁判所に求めたが、治安当局高官の殺害への関与については訴追を取り下げた。

 裁判所は9日、ハシミ副大統領の義理の息子で秘書のアフメド・カータン(Ahmed Qahtan)被告にも同じく被告人不在のまま死刑判決を言い渡した。

 イラク当局は2011年12月、爆弾テロなどに関与したとしてハシミ副大統領に逮捕状を出したが、同副大統領は政治的な動機に基づく動きだとして全ての容疑を否認していた。

 ハシミ副大統領はイラク国内のクルド人自治区に逃れた後、カタールやサウジアラビアを経て、今年4月から家族とともにトルコのイスタンブール(Istanbul)に身を寄せており、トルコ政府の保護下にある。トルコの首都アンカラ(Ankara)にいるある上級外交官によると、判決が出た9日、ハシミ大統領は以前から決まっていた予定に従ってトルコのアフメト・ダウトオール(Ahmet Davutoglu)外相と会談したという。

 国際刑事警察機構(ICPO、インターポール、Interpol)は今年5月、イラク当局の求めに応じて「テロ攻撃を指導し、資金を提供した」疑いでハシミ副大統領について「レッドノーティス(被疑者を手配国に引き渡す方向で加盟各国に協力を要請する文書)」を出したと発表していた。

 一方、イラク全土では8日夜から9日までに30か所以上で銃や爆弾を使った攻撃があり、88人が死亡、400人以上が負傷した。これにより今月に入ってイラクで起きた攻撃で死亡した人は118人になった。(c)AFP/Ammar Karim