【8月31日 AFP】米インターネット大手ヤフー(Yahoo)が中国当局に提供した情報により、国家転覆罪で禁錮10年の有罪を言い渡され服役していた中国の反体制活動家、王小寧(Wang Xiaoning)氏(62)が31日朝、刑期満了に伴い釈放された。妻の余陵(Yu Ling)さんによれば心身共に健康だという。

 王氏はインターネット上で中国の民主改革を呼び掛け、共産党による一党独裁制を批判したために2003年に有罪判決を受け、10年間を刑務所で過ごした。

 この事件では北京の裁判所が、王氏の有罪判決につながった証拠の情報源が米ヤフー(Yahoo Holdings)の香港法人だと明かしたため注目を集めると同時に、ヤフーにとっては広報的に大きなダメージとなっていた。

 この件について米議会で証言したヤフー幹部らは、中国政府に情報を提供する法的義務があったと釈明。提供した情報が反体制活動家を有罪とするために用いられるとは知らなかったと語っていた。

 同様に、中国の詩人で反体制活動家の師濤(Shi Tao)氏が2005 年に国家機密漏えいの罪で禁錮10年の有罪判決を言い渡された件でも、ヤフーは師氏の情報を中国当局に提供している。師氏は、国内の民主活動家に対する当局の弾圧について書かれたEメールを海外に送信していた。

 後にヤフーは、師氏の事件もあわせて人権擁護団体「World Organization for Human Rights」から提訴されたことを受け、2007年に謝罪するともに、王氏の妻には賠償金を支払っている。(c)AFP/Tom Hancock