【8月27日 AFP】米アラスカ(Alaska)州にあるデナリ国立公園(Denali National Park)で24日、グリズリー(ハイイログマ)を近距離から撮影していた旅行者が襲われ、死亡する事件があった。同公園で人がクマに襲われたのは初めてという。

 公園管理局によると、死亡したのは同公園を1人で訪れていたカリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)在住の観光客で、管理局のガイドラインを無視して50ヤード(約46メートル)以内までクマに近付いて撮影していたとみられる。落ちていたバックパックを見つけた日帰りハイキング客3人が付近を調べ、破れた衣服や血痕など、激しい乱闘の痕跡を発見した。状況からみて、犠牲者はトクラト川(Toklat River)近くで襲われ、遺体はクマが人目につかない茂みの奥へ引きずっていったと考えられるという。

 地元紙アラスカ・ディスパッチ(Alaska Dispatch)は公園管理責任者のポール・アンダーソン(Paul Anderson)氏の話として、このクマは25日に射殺されたと伝えた。

 アンダーソン氏は、犠牲者はクマに近づきすぎたのだと説明している。同氏によると、川岸でクマを発見した旅行者は、迂回して避ける代わりに50ヤード以内まで接近した。現場で回収されたデジタルカメラから、撮影者がクマに近づきながらおよそ8分間にわたって撮影を続けていたことが分かったという。突進してくるクマは写されていなかった。

 クマは当時、草を食べており「攻撃性は一切みられなかった」とアンダーソン氏は指摘した上で、「クマからは4分の1マイル(約402メートル)は距離を置き、近づいてきたらすぐに離れるべきだ」と述べた。(c)AFP