【8月14日 AFP】ローマ法王庁(バチカン)の司法当局は13日、法王庁の秘密文書が大量にマスコミに流出した事件との関連で、ローマ法王の元執事で5月に逮捕されたパオロ・ガブリエレ(Paolo Gabriele)補佐官(46)を窃盗の罪で起訴したと発表した。

 ガブリエレ被告はローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI、85)の執務室から秘密文書を持ち出し記者らに流した疑いがもたれている。共犯として、法王庁のコンピューター技術者だったクラウディオ・スキアルペレッティ(Claudio Sciarpelletti)被告も起訴された。スキアルペレッティ被告の名前が公に明らかにされたのは初めて。

 ローマ法王庁は、公判開始は早くても10月になるとの見方を示している。有罪になればガブリエレ被告は最大で禁錮6年の刑を受ける可能性がある。

 バチカンのフェデリコ・ロンバルディ(Federico Lombardi)広報局長は記者会見で、「大規模で複雑な事件」の捜査はまだ終わっておらず、関与が疑われる人物の捜査は続けられるだろうと語った一方、スキアルペレッティ被告がこの事件で果たした役割は小さく、共犯とまでは言えないという見方を示した。

 5月に逮捕されたガブリエレ被告は53日間の勾留を経て7月から自宅軟禁におかれ、司法当局の判断を待っていた。スキアルペレッティ被告も5月に逮捕されたが、翌日に釈放された。同被告は現在、裁判に向けた措置として停職処分になっているが、給与は支払われている。
 
 3人の子を持つガブリエレ被告は、ローマ法王の個人秘書の机上にあった重要機密のEメールや書簡をコピーして外部に流出させたとされ、被告本人もこの事実を認めている。ガブリエレ被告の逮捕を受けて法王庁は、被告の自宅から秘密書類やコピー機器が発見されたことは固い結束を誇るバチカンに衝撃を与え、ローマ法王を悲しませたと発表していた。(c)AFP/Jean-Louis de la Vaissiere