【8月1日 AFP】米アップル(Apple)と韓国サムスン電子(Samsung Electronics)がスマートフォン(多機能携帯電話)などの特許をめぐり争う訴訟の冒頭陳述が31日、米カリフォルニア(California)州サンノゼ(San Jose)の連邦地裁で行われた。

 アップルの弁護人は陪審団に対し、同社のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」が2007年1月に公開されるや否や、サムスン電子はすぐに意図的な模倣を始めたと主張した。また、iPhoneの全ての要素を模倣するという方針はサムスン電子の最高幹部らによって決定されたもので、アップルが新たな製品を発表するたびに自社製品に変更を加え、最終的にアップルとそっくりの製品になったと主張した。

 これに対しサムスン電子の弁護人は、iPhone以前にも大型スクリーンを搭載した携帯電話は幾つか存在していたと反論。サムスン電子は「模倣者」でも「後追い者」でもなく、独自の革新的製品を開発している企業だと主張した。またアップルの内部資料からは、アップルの技術者たち自身もソニー(Sony)といった競合メーカー製品のデザインに触発されていたことが分かるとも述べた。

 アップルはサムスン電子を相手取り、製品デザインなどの特許を侵害したとして25億ドル(約2000億円)の損害賠償を求めている。スマートフォンやタブレット型端末の世界大手の両社は、米国のほかにも世界各地で同様の法廷闘争を繰り広げている。欧州とオーストラリアの裁判の結果はまちまちだが、米国の法廷ではサムスン側が明らかに守勢に立っている。

 今回の訴訟で裁判長を務めるルーシー・コー(Lucy Koh)判事は先に、10インチ型タブレット「ギャラクシー(Galaxy)」とサムスン電子が米グーグル(Google)と共同開発したスマートフォン「ギャラクシー・ネクサス(Galaxy Nexus)」の米国での暫定的な販売差し止め命令を出している。今回の訴訟でアップルが勝てば、販売差し止め命令は自動的に暫定的なものではなくなる。

 この訴訟は両社だけではなく、急成長を続ける携帯端末産業全体に大きな金銭的影響を与える可能性がある。(c)AFP/Joe Mullin