【7月30日 AFP】記事の正確さを自負する米紙ニューヨーク・タイムズ(New York TimesNYT)が29日、前編集長の名をかたって内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」を擁護する偽の記事に、まんまとだまされた。

 昨年9月まで編集長だったビル・ケラー(Bill Keller)氏が執筆したと装った論説は「ウィキリークス、再追伸(WikiLeaks, a Post Postscript)」と題され、週末に同紙のウェブサイトを模した偽造サイトに掲載されていた。

 偽ページは、リンクも全て本物の同紙サイト内へ飛ぶように作られており、あまりにも本物そっくりだったため、ほかならぬ同紙テクノロジー・エディターのニック・ビルトン(Nick Bilton)氏までもがマイクロブログ・ツイッター(Twitter)の自分のアカウントで「重要記事」として紹介したほどだった。

 ところが、この論説は全くの偽物。

 名前を使われた当のケラー氏はすかさず、「私の名前を使ったウィキリークスに関する偽の記事が出回っている。『偽物』だ。私が書いたものではない」とツイート。ビルトン氏もこれに続いて「前夜遅くに投稿したツイートを、たった今削除した。偽のNYTビル・ケラー・アカウントから発信されたものだった」とツイートした。

 問題の偽記事を掲載した「犯人」について、手がかりは今のところないが、前年はハッカーの国際的なネットワーク「アノニマス(Anonymous)」が米国の政府機関などを狙ったサイバー攻撃が目立った。NYT紙がウィキリークスの暴露した大量の政府機密情報を掲載する主なメディアの一つだったのも、この偽記事に信憑性を与えた一因とみられる。(c)AFP