【7月12日 AFP】中国で「一人っ子政策」に違反して強制堕胎させられた馮建梅(Feng Jianmei)さんに対し、当局から7万元(約90万円)の賠償金が渡されていたことが明らかになった。馮さんの弁護士が11日に発表した。

 事件については先月、馮さんの隣に横たわる血まみれの胎児の写真がオンライン上で広まって以来、中国当局を非難する声が世界中で上がっていた。活動家らによれば、中国では一人っ子政策による強制堕胎は頻繁に行われているという。

 弁護士の話では、馮さん夫婦は地元当局から7万元の賠償金を受け取ることで和解した。だが同時に、この金額では馮さんが生涯にわたり受ける「精神的苦痛」を埋め合わせることはできないとも弁護士は述べている。

 国営の新華社(Xinhua)通信もまた、馮さん夫婦への賠償金の支払いを報じている。報道では、「この合意は、両当事者が今後この問題についていかなる疑問も提起しないことを意味している」との匿名の当局者のコメントも伝えられ、賠償金の支払いは夫婦からのこれ以上の苦情を封じるためだったことが示唆された。

 一人っ子政策に違反し2人目の子どもを妊娠した馮さんは、罰金4万元(約50万円)を支払えなかったため妊娠7か月で中絶させられていた。しかし、中国では妊娠6か月を過ぎた中絶は禁じられている。

 馮さんの件への批判が高まったことを受け、地元当局は強制堕胎に関与した職員2人を解雇し、ほか職員5人についてもそれ以下の懲罰を与えている。(c)AFP