軍事政権による「赤ちゃん誘拐」、元大統領らに禁錮刑
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【7月6日 AFP】アルゼンチンの首都ブエノスアイレス(Buenos Aires)の裁判所は5日、軍事独裁政権(1976~83年)下で殺害された左翼活動家の子供たちを誘拐した罪に問われていた元大統領2人に重い禁錮刑を言い渡した。
大勢の人が入った法廷でマリア・ロケタ(Maria Roqueta)裁判長は、元大統領のホルヘ・ビデラ(Jorge Videla)被告(86)に禁錮50年、同じく元大統領のレイナルド・ビニョーネ(Reynaldo Bignone)被告(84)に禁錮15年の判決を下した。
その様子は裁判所前に設置された巨大なテレビ画面に映し出され、被害者の身内や、家族と再会を果たした子供たち、活動家など数百人が集まった。判決が下されると人々は歓声を上げ、多くの人が涙を流した。
2011年2月に始まったこの裁判では、その他の被告らに対しても、活動家の子供たちを誘拐するという「組織的計画」に関与した罪で禁錮15~40年の刑が言い渡されている。
人権団体「5月広場の祖母たち(Grandmothers of the Plaza de Mayo)」は1996年以降、「盗まれた子供たち」を取り戻すため法廷闘争を続けてきた。同団体によれば、約500人もの子供たちが誘拐され、政権に近い関係にあった家族に自分たちの子として育てられていた。
人権活動家らによれば、「汚れた戦争」と呼ばれている軍事政権と左翼活動家との戦いで、約3万人が行方不明になったという。(c)AFP/Josefa Suarez