【6月22日 AFP】南米ウルグアイの議会で、マリフアナの販売・流通を政府が管轄するとした法案が提出された。法案はホセ・ムヒカ(Jose Mujica)大統領の左派政権が打ち出した15の犯罪撲滅対策案の1つで、可決されれば麻薬が政府の専売品となる中南米で初めてのケースとなる。
 
 エレウテリオ・ウイドブロ(Eleuterio Huidobro)国防相は20日の記者会見で、法案提出の主旨について、「一部の麻薬を非合法とすることが社会問題につながり、麻薬そのものよりも悲劇的な結果を招いている」と説明。目的は「マリフアナ生産と流通を国の厳しい管理下に置くこと」と語った。

 同国防相によれば、ウルグアイ国内におけるマリフアナの非合法市場は7500万ドル(約60億2500万円)規模と推測される。

 ブラジルとアルゼンチンに挟まれた小国のウルグアイでは、麻薬絡みの犯罪抗争は、ほぼ皆無だったが、近年では殺人事件の発生件数が増加している。これについてウイドブロ国防相は、麻薬取引をめぐる組織間トラブルに起因するものであることは明らかだと指摘した。

 人口320万人のウルグアイで、今年の1月から5月に発生した殺人事件は133件で、前年同期比で70%増加した。 

 政府統計によるとウルグアイでは前年、人口の8.3%がマリフアナを吸引している。(c)AFP