カナダ切断遺体事件、容疑者「カナディアン・サイコ」の怪しい過去
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【6月7日 AFP】ポルノ俳優、男性客相手の売春、子猫殺し、詐欺行為で複数の前科――。カナダで性的関係にあった男性を殺害し、その様子を動画に撮影したうえ切断した遺体の一部を政党本部などに郵便で送りつけたとされるルカ・ロッコ・マグノッタ(Luka Rocco Magnotta)容疑者(29)の横顔が、次第に明らかになってきた。
メディアが「カナディアン・サイコ」の異名で報じるマグノッタ容疑者は、仏パリ(Paris)に逃亡した後、独ベルリン(Berlin)市内で4日に逮捕された。
■ハンサムだがナルシシストな「エンジェル」
トロント(Toronto)生まれの同容疑者は、米俳優ジェームズ・ディーン(James Dean)に似せるために顔を整形し、化粧をして口紅をつけていたほか、黒髪を別の色に染めたりかつらを着用したり、時には女装もしていたという。周囲からは、ハンサムだがナルシシスト(自己陶酔者)だと評されていた。
また、過去に本名を変え、複数の偽名も使っていた。誕生時の名前「エリック・クリントン・ニューマン(Eric Clinton Newman)」で残っている犯罪記録によると、複数の小売業者に対して詐欺行為を行った罪と、トロントで女性から1万6900ドル(約130万円)を盗んだ罪で2005年に執行猶予付きの有罪判決を受け、保護観察処分を受けていた。カメラ・コンピューターの所持やインターネットの利用を禁じる裁判所命令もたびたび出されていたという。
家族は報道陣に対し、マグノッタ容疑者とはしばらく前に音信不通となったと話している。
マグノッタ容疑者は、数年前からネット上に自身を細身のモデル風に写した写真付きプロフィールを公開し、性的パートナーを探していた。トロントで有名なゲイバー「レミントンズ(Remington's)」では「エンジェル(Angel)」という源氏名でストリッパーや売春夫として働いていたという。
白人至上主義に一時傾倒したこともあったというマグノッタ容疑者は、カナダ紙オタワ・シチズン(Ottawa Citizen)によると子猫2匹をプラスチック製の袋の中で窒息死させる動画をネットに投稿し、「バキューム子猫殺し(Vacuum Kitten Killer)」としてネットユーザーらが犯人捜しをしていたという。
だが、出会い系サイトにマグノッタ容疑者が投稿したとされるプロフィールには、趣味はビーチバレーで、長く付き合える恋人を募集中などと、全く違う人格を想起させる自己紹介文が掲載されていた。
■「気味の悪い詐欺師」
マグノッタ容疑者は2005年にトロントでストリッパーの免許を取得。男性エスコートとしても働いていた。
4~5年前に同容疑者と会ったという映画制作者のピエール・ボノム(Pierre Bonhomme)氏はオタワ・シチズン紙に対し、あまりに「気味悪かった」ため、すぐに彼の元を去ることにしたと話している。「5分もしないうちに別れた。とても居心地が悪く、ぎくしゃくした場だった。彼はいかがわしくドラッグにまみれた男性向け売春の世界に浸かっていて、セックス目的の出会い系サイトを頻繁に利用していた」
ボノム氏によれば、当時マグノッタ容疑者は「ウラジーミル・ロマノフ(Vladimir Romanov)」といったロシア系の偽名をこれらのサイトで使っていて、人をだますことに全く抵抗を感じない人物だったとも証言している。
「彼は詐欺師だよ。ゲイコミュニティーにいるような男では全くなかったね。郊外に住み、ネットを通じて出会った既婚男性から金をだまし取るような男だ」
■「信じられないほど美しい」と自画自賛
心理学者のジル・シャンベルラン(Gilles Chamberland)氏はラジオ・カナダ(Radio Canada)に対し、マグノッタ容疑が自身を「信じられないほど美しい」と自慢していた点を挙げ、「ナルシシスティックで反社会的」行動が見て取れると指摘している。
2009年にはネット上の投稿で、どうすれば姿をくらましたきり二度と見つからずにいられるか、持論を展開していた。
この投稿には、「過去の人生を捨てるために必要な英雄的行為を実行するためには、最低でも4か月が絶対に必要だ」と書かれていたという。また、交友関係を全て断ち切り、偽の身分証明書一式を2人分所持し、財産は全て現金化し、捜査をかく乱するため車をどこか別の場所で売ってバスで移動せよ、などと論じていた。(c)AFP
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