ボスニア・ヘルツェゴビナ監禁虐待事件、被害女性に多数の傷跡 検察当局
発信地:サラエボ/ボスニア・ヘルツェゴビナ
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ヨーロッパ
ボスニア・ヘルツェゴビナ
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【5月30日 AFP】ボスニア・ヘルツェゴビナのカラブラーシ(Karavlasi)村でおよそ8年間にわたってドイツ人女性がボスニア国籍のロマ人夫婦に監禁され虐待を受けていたとされる事件で、検察当局は28日、被害者の女性は森の中に隠れているところを発見され、体には新しい生傷と古い傷跡が多数あったことを明らかにした。
警察は17日にロマ人の暮らす集落カラブラーシ村の自宅でミレンコ・マリンコビッチ(Milenko Marinkovic)容疑者と妻のスラボイカ(Slavojka Marinkovic)容疑者を逮捕している。
地元検察当局の広報担当者はAFPの取材に、「マリンコビッチ容疑者の所有地そばの森で若い女性が発見された。彼女は極めて混乱しておびえており、体には傷があった。古い傷跡も多数あったが、脚や腕、頭部には新しい傷も多数あった」と語った。女性が身元を証明するものを持っていなかったため、検察当局はボスニア・ヘルツェゴビナとドイツにおける女性の氏名の確認を急いでいるという。
ボスニア・ヘルツェゴビナ当局は、被害女性を保護下に置き、医療検査を実施。検察当局広報によると、女性には肉体的暴力を受けた跡があったものの、性的虐待を受けたことを示す証拠は見つかっていない。
■被害女性の母親は事件性を否定
被害女性の母親は、数年前からカラブラーシとドイツを行き来する生活を送っており、マリンコビッチ容疑者の逮捕時にはカラブラーシ村にいた。現在、参考人として事情聴取を受けている。
27日にAFPが接触した際、母親は涙を流して嫌疑を否定した。「全部でっちあげ。私たちはここでとても良い暮らしをしていた。作り話よ」と、母親は、マリンコビッチ容疑者の自宅で、ロマ人の親族たちに囲まれる中、ドイツ語で語った。
母親は「娘を返してもらえることを願っている」と、娘の写真を見ながら涙ながらに語った。
マリンコビッチ容疑者の親族によると、被害女性の母親はマリンコビッチ容疑者の2人目の妻だった。ボスニアのロマ人社会では2人目の妻は珍しくないという。
マリンコビッチ夫妻は1992~95年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の際にドイツに逃れ、そこで被害女性の母親に出会い、母親の自宅にかくまわれた。そして数年後、マリンコビッチ夫妻がボスニア・ヘルツェゴビナに戻る際に、母親は前の夫との間に生まれていた娘を連れて夫妻について来たという。
■目撃者と容疑者兄弟で食い違う主張
虐待事件を通報した近隣住民のセアド・マカリッチ(Sead Makalic)さんは、AFPの取材に、被害女性が動物のように扱われているのを目撃したと語る。
「私たちは仲の良い隣人同士だった。だが私は彼らを糾弾しなければならないと思った。この少女が受けている残虐行為を許すことができなかったのだ」とマカリッチさんが語ると、周囲に集まった十数人の住民の全員が同意を示した。
ミレンコ・マリンコビッチ容疑者の兄弟、ミコ・マリンコビッチ(Miko Marinkovic)さんは、事件全体が「陰謀」であり、マカリッチさんが土地欲しさに警察に通報したのだと語る。
「私たちをここから追放して土地を奪うのが狙いだ。私たちの所有地は40ヘクタールに上る」と、ミコ・マリンコビッチさんはAFPに語った。
一方、ミコ・マリンコビッチさんは、被害女性が地元自治体に住民登録されていなかったことを認め、学校に通学していなかったことについては知的障害があったことを理由に挙げた。
検察当局者はAFPに、被害女性の心理学鑑定を実施中だと述べた。(c)AFP/Rusmir Smajilhodzic
【関連記事】少女を監禁し家畜扱いした容疑で夫婦を逮捕、ボスニア・ヘルツェゴビナ
警察は17日にロマ人の暮らす集落カラブラーシ村の自宅でミレンコ・マリンコビッチ(Milenko Marinkovic)容疑者と妻のスラボイカ(Slavojka Marinkovic)容疑者を逮捕している。
地元検察当局の広報担当者はAFPの取材に、「マリンコビッチ容疑者の所有地そばの森で若い女性が発見された。彼女は極めて混乱しておびえており、体には傷があった。古い傷跡も多数あったが、脚や腕、頭部には新しい傷も多数あった」と語った。女性が身元を証明するものを持っていなかったため、検察当局はボスニア・ヘルツェゴビナとドイツにおける女性の氏名の確認を急いでいるという。
ボスニア・ヘルツェゴビナ当局は、被害女性を保護下に置き、医療検査を実施。検察当局広報によると、女性には肉体的暴力を受けた跡があったものの、性的虐待を受けたことを示す証拠は見つかっていない。
■被害女性の母親は事件性を否定
被害女性の母親は、数年前からカラブラーシとドイツを行き来する生活を送っており、マリンコビッチ容疑者の逮捕時にはカラブラーシ村にいた。現在、参考人として事情聴取を受けている。
27日にAFPが接触した際、母親は涙を流して嫌疑を否定した。「全部でっちあげ。私たちはここでとても良い暮らしをしていた。作り話よ」と、母親は、マリンコビッチ容疑者の自宅で、ロマ人の親族たちに囲まれる中、ドイツ語で語った。
母親は「娘を返してもらえることを願っている」と、娘の写真を見ながら涙ながらに語った。
マリンコビッチ容疑者の親族によると、被害女性の母親はマリンコビッチ容疑者の2人目の妻だった。ボスニアのロマ人社会では2人目の妻は珍しくないという。
マリンコビッチ夫妻は1992~95年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の際にドイツに逃れ、そこで被害女性の母親に出会い、母親の自宅にかくまわれた。そして数年後、マリンコビッチ夫妻がボスニア・ヘルツェゴビナに戻る際に、母親は前の夫との間に生まれていた娘を連れて夫妻について来たという。
■目撃者と容疑者兄弟で食い違う主張
虐待事件を通報した近隣住民のセアド・マカリッチ(Sead Makalic)さんは、AFPの取材に、被害女性が動物のように扱われているのを目撃したと語る。
「私たちは仲の良い隣人同士だった。だが私は彼らを糾弾しなければならないと思った。この少女が受けている残虐行為を許すことができなかったのだ」とマカリッチさんが語ると、周囲に集まった十数人の住民の全員が同意を示した。
ミレンコ・マリンコビッチ容疑者の兄弟、ミコ・マリンコビッチ(Miko Marinkovic)さんは、事件全体が「陰謀」であり、マカリッチさんが土地欲しさに警察に通報したのだと語る。
「私たちをここから追放して土地を奪うのが狙いだ。私たちの所有地は40ヘクタールに上る」と、ミコ・マリンコビッチさんはAFPに語った。
一方、ミコ・マリンコビッチさんは、被害女性が地元自治体に住民登録されていなかったことを認め、学校に通学していなかったことについては知的障害があったことを理由に挙げた。
検察当局者はAFPに、被害女性の心理学鑑定を実施中だと述べた。(c)AFP/Rusmir Smajilhodzic
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