【5月12日 AFP】盗聴事件で廃刊となった英日曜大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)」元編集長のレベッカ・ブルックス(Rebekah Brooks)容疑者(43)が11日に召喚された報道倫理調査委員会で、デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相と同スキャンダルに関して個人的に連絡をやりとりしたことや、キャメロン首相から送られた携帯電話のテキスト・メッセージが「LOL」(ロッツ・オブ・ラブ=愛を込めて、の意)で締めくくられていたことなどを証言した。

 ブルックス容疑者は前年7月、ニューズ・オブ・ザ・ワールド紙による電話盗聴と贈賄関連の容疑で逮捕された。その後の今年3月には、夫のチャーリー・ブルックス(Charlie Brooks)容疑者と共に司法妨害の容疑で再逮捕されている。

 ブルックス容疑者は、米メディア王ルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏の右腕として、同氏が率いる米メディア・エンターテイメント大手ニューズ・コーポレーション(News Corp)の英子会社ニューズ・インターナショナル(News International)の最高経営責任者(CEO)として手腕を振るっていた。

 今回、報道倫理やメディアと政治家の関係を調査するためにレベソン判事を委員長として立ち上げられた委員会に対しブルックス容疑者は、ニューズ紙の英国親会社にあたるこのニューズ・インターナショナルCEOを辞任した際にも、キャメロン首相から「間接的な」いたわりのメッセージを受け取ったことを明らかにした。

 またキャメロン首相からの携帯メッセージは、通常「デービッド・キャメロン」を略して「DC」と署名されていたことや、時に「LOL」(ロッツ・オブ・ラブ=愛を込めて、の意)と締めくくられていたこともあり、ブルックス容疑者が「LOL」は「ラフ・アウト・ラウド」(爆笑)を意味すると教えるまでそれは続いたと述べた。

 ブルックス容疑者は他にも首相官邸やジョージ・オズボーン(George Osborne)財務相、テリーザ・メイ(Theresa May)内相、ウィリアム・ヘイグ(William Hague)外相ら閣僚の執務室からも間接的なメッセージを受け取っていたと明かした。

 さらに保守党の現閣僚ばかりか、労働党のトニー・ブレア(Tony Blair)元首相からもCEO辞任の際にはメッセージが届いたが、ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)前首相からは連絡がなく、ブルックス容疑者は「喜んでたんじゃないでしょうか」と笑顔を浮かべた。ニューズ紙同様マードック氏傘下の英大衆紙サン(Sun)は、ブラウン氏が労働党党首だった2010年の総選挙前に労働党支持を取り下げ、ブラウン政権はこの選挙で下野することになった。(c)AFP/Danny Kemp

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