フェラーリが南京の史跡を「破壊」、ネットで批判の的に 中国
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【5月10日 AFP】中国・南京(Nanjing)にある明王朝(Ming Dynasty、1368~1644年)時代に建造された城壁の上で、イタリアの高級自動車メーカー、フェラーリ(Ferrari)のスポーツカーがデモンストレーション走行を行い、史跡に損害を与えたとして市民らの怒りの声が高まっている。
中国国営新華社(Xinhua)通信が9日伝えたところによると、デモ走行はフェラーリのプロモーションイベントの一環として中国の販売代理店が行った。被害を受けたとされるのは南京東部の著名な史跡「中華門(Gate of China)」付近の城壁で、街を取り囲む城壁の中でも最も保存状態の良い部分の1つとされていた。
イベントを撮影した動画には、クレーン車で運ばれた深紅のフェラーリが城壁の上でドーナツスピンを披露する様子や、翌日に城壁に残された黒いタイヤ痕を人々がこすり落とそうとしている様子が映されている。
新華社によれば、使用された車は「フェラーリ458イタリア(Ferrari 458 Italia)」の特別モデルで、価格は600万元(約7600万円)相当。また、城壁でイベントを開催するため代理店は1万2000ドル(約96万円)以上を費やしたという。
中国のインターネット・ユーザーらの間では、フェラーリへの批判が高まっている。南京在住のあるユーザーは、「フェラーリが歴史ある城門を見せ物のために使って破損させるなど、容認できない。街を尊重しないなら、ここに留まる資格はない」とマイクロブログに投稿した。また、「600万元のフェラーリと600年前の城壁――南京当局は一体、何をやっているんだ? とても悲しい」との書き込みもあった。
この問題は、中国で貧富の格差の広がりに対する国民の怒りが大きくなっている現状も反映している。中国では、浪費や富を誇示する行為への批判が増しつつある。
フェラーリは8日、同社ウェブサイトに謝罪文を掲載。同社は中国文化を尊重しており、代理店が引き起こした問題の解決に務めていると弁明している。(c)AFP