【5月4日 AFP】米麻薬取締局(Drug Enforcement AdministrationDEA)は2日、薬物使用で逮捕した学生(23)を誤って留置場の独房に5日間放置したとして、この学生に謝罪した。この学生は独房の中で自らの尿を飲んで命をつなぎ、自殺未遂にまで追い込まれたという。

 DEAは4月21日に行った強制捜査で他の8人と共にカリフォルニア大学(University of California)に通うこの学生を逮捕した。 

 DEAがAFPに送った電子メールによると、この大学生は一緒に薬物を使用するため友人たちを自宅に呼んでいた。逮捕後にDEAの事務所に連行して指紋採取や写真撮影、個別の取り調べを行ったが、その際頻繁に場所を変えたという。

 最終的に「手続きを終えた容疑者7人が郡の拘置所に送られ、1人は釈放されたが、当該人物は誤って独房に1人で放置された」という。

■「独房で頭がおかしく」

 水も食糧も与えられずに約1.5メートル×3メートルの小さな独房に放置された学生は、自分の尿を飲むことにした。また、独房内で見つけた粉状の物質も口にしたという。後にこの物質は覚醒剤のメタンフェタミンであることが分かった。

 5日間で体重が7キロ減ったという学生は、米NBCテレビに対し「生きるために必要なことをしなくてはならなかった。3日目には幻覚を見るようになった」と語った。「僕の頭は完全におかしくなっていた」

 また、かけていた眼鏡のレンズを割り、腕に「ごめんお母さん」と刻み自殺未遂を試みたことも明かしている。学生の喉からは、飲み込んだとみられるガラスの破片が看護師らにより発見された。

 DEA捜査官はメールの中で、この学生に「深く謝罪する」と述べるとともに、徹底的な内部調査を命じたことを明らかにした。NBCテレビによるとこの学生は、賠償金2000万ドル(約16億円)を求める訴えを起こした。(c)AFP