【3月8日 AFP】米ニューヨーク(New York)で6日に起訴された国際ハッカー5人と、既に起訴事実を認めているリーダーは、過去1年半の間に世間を騒がせた数々のサイバー攻撃に関与した疑いが持たれている。

 国際ハッカー集団の「アノニマス(Anonymous)」と「ラルズ・セキュリティー(Lulz Security)」、またはその関連グループのメンバーとして6人が関わったとみられるサイバー攻撃には次のようなものが挙げられている。

■2010年12月 「ペイバック(報復)作戦(Operation Payback)」 
 クレジットカード大手のマスターカード(MasterCard)、ビザ(Visa)とオンライン決済サービス「ペイパル(PayPal)」のウェブサイトに対してアノニマスのメンバーが行ったDDoS(分散サービス妨害)攻撃。内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」への寄付金送金の取引停止に対する報復として行われた。DDoSとは、標的となるウェブサイトなどに大量の通信を行って負荷を与え、処理速度を遅らせたり、サイト自体を完全にダウンさせる行為。

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■2011年1月 アイルランドの政党「統一アイルランド党(Fine Gael)」のウェブサイト「www.finegael2011.com」を運用していた米アリゾナ(Arizona)州のサーバーに不正アクセスをしてサイトを改ざん。

■2011年1月 「チュニジア作戦(Operation Tunisia)」 
 チュニジア政府のコンピューターシステムに対してアノニマスのメンバーが行ったDDoS攻撃。同国首相のウェブサイトも標的とされた。

■2011年前半 「アルジェリア作戦(Operation Algeria)」
 アノニマスメンバーによる、アルジェリア政府のウェブサイトへのDDoS攻撃と、政府のコンピューターシステムに対するサイバー攻撃。

■2011年前半 「イエメン作戦(Operation Yemen)」 
 アノニマスのメンバーによる、イエメン政府のコンピューターシステムに対するサイバー攻撃と「特定の情報」の不正ダウンロード。

■2011年前半 「ジンバブエ作戦(Operation Zimbabwe)」
 アノニマスのメンバーによる、ジンバブエ政府のコンピューターシステムに対するサイバー攻撃と、同政府の電子メールサーバーから情報を盗み出そうとした試み。

■2011年前半 米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)やシカゴ・トリビューン(Chicago Tribune)などを傘下に持つ米メディア大手トリビューン(Tribune Company)のコンピューターシステムに対してアノニマスのメンバーが行ったサイバー攻撃。不正流出したログイン認証情報を用いて行われた。

■2011年2月 米コンピューター・セキュリティー会社、HBゲーリー(HBGary)の従業員の電子メール6万通を盗み出し、当時のCEOのツイッター(Twitter)アカウントを改ざん。

■2011年4~5月 米テレビ局フォックス放送(Fox Broadcasting Company)のウェブサイトに対するサイバー攻撃により、同局のオーディション番組『Xファクター(The X-Factor)』の応募者7万人以上の氏名、生年月日、電話番号、電子メールアドレスと住所が盗み出される。

■2011年5月 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(Sony Pictures Entertainment)へのサイバー攻撃が行われ、「www.sonypictures.com」のサイトに登録していた10万人のユーザーのパスワード、電子メールアドレス、住所、生年月日が流出。その後、ソニー・ミュージックエンタテインメント(Sony Music Entertainment)に対しても攻撃が行われる。

■2011年5月 米公共放送サービス(Public Broadcasting ServicePBS)の番組『フロントライン(Frontline)』のウィキリークスに関する報道を受け、同局のニュース番組『ニューズアワー(NewsHour)』のウェブサイトがサイバー攻撃を受け、サイトが改ざんされ、機密情報が盗み出される。

■2011年6月 米連邦捜査局(FBI)と民間セクターによる情報共有事業「インフラガード・アトランタ(Infragard-Atlanta)」へのサイバー攻撃によりパスワードなどの情報が盗み出される。また、米IT企業アンベイランス(Unveillance)への攻撃により、同社CEOの電子メールが不正ダウンロードされる。

■2011年6月 米上院のウェブサイト「Senate.gov」がサイバー攻撃を受け、サイト内部のディレクトリデータが盗み出されるが、機密データは漏えいせず。

■2011年6月 米ビデオゲーム会社ベセスダ・ソフトワークス(Bethesda Softworks)へのサイバー攻撃により、同社サイト「www.brinkthegame.com」のユーザー20万人のパスワードと電子メールアドレスが盗み出される。

■2011年12月 米テキサス(Texas)州に拠点を置く情報関連企業「ストラトフォー(Stratfor)」のコンピューター・システムに対するサイバー攻撃により、ユーザー6万人のクレジットカード情報、サイト登録者や顧客86万人のアカウント情報、同社の電子メールが盗み出される。同社への攻撃に関与したとして起訴されているのはジェレミー・ハモンド(Jeremy Hammond)被告(27)のみ。

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(c)AFP