【3月4日 AFP】呪術を行ったとして、コンゴ(旧ザイール)出身のカップルが15歳の少年を殺害した事件で、ロンドン(London)の中央刑事裁判所(オールド・ベイリー、Old Bailey)の陪審は1日、少年に暴行を加えた上で浴槽で溺れさせたとして、被告2人に殺人罪で有罪評決を言い渡した。エリック・ビクビ(Eric Bikubi)被告(28)とマガリー・バミュ(Magalie Bamu)被告(29)は、罪状を否認していた。

 事件は2010年12月25日、両被告の住むロンドン東部の住宅で起きた。死亡したクリスティ・バミュ(Kristy Bamu)君は、マガリー・バミュ被告の弟だったが、姉とその恋人に「悪魔払い」と称して拷問を受けた。遺体には130ものけがや傷があった。

 クリスティ君はクリスマス休暇を被告2人と過ごすため、パリ(Paris)の自宅からきょうだい4人とともにロンドンを訪れた。だがビクビ被告は、クリスティ君らが自分の家で呪術を行ったと糾弾し、きょうだい全員に暴力をふるった。中でも特にクリスティ君が標的にされ、3日間にわたってナイフや金属棒、ハンマーなどで暴行された。

 クリスティ君の歯は折れ、床のタイルや瓶で頭部を殴られ、ペンチで耳をひねられた。検察側によると、苦痛があまりにひどかったため、クリスティ君は「死なせてくれと懇願した」という。ビクビ被告に浴槽に入れられたクリスティ君は「けがと体力の消耗がひどすぎて、水面上に顔を上げておくことさえできなくなっていた」と検察側は述べた。

 11歳と20歳のクリスティ君の姉妹2人も当初暴行を受けたが、「悪魔にとりつかれていた」ことを認めた後で解放されたという。一方、自閉症を患う22歳と13歳の兄弟の2人は暴行に加わるよう命じられた。またあるときには、ビクビ被告はきょうだいらに対し、窓から飛び降りて空を飛べるかどうか見せてみろと詰め寄ったという。

 きょうだいは姉のマガリー被告が救ってくれると思っていたが、マガリー被告はむしろビクビ被告を焚き付けてクリスティ君に「呪術を使った」ことを認めさせた。

 姉妹の1人、ケリーさんは公判で、「お前たちは魔女かと質問された。何度も何度も何度も、私たちは魔女じゃないと言った。彼らは、私たちが殺しに来たと決め付けた」と証言して泣き崩れた。「クリスティは許してくれと言っていた。何度も何度も。でもマガリーは何もしなかった。気にしやしなかった。これは当然の報いだと」

 クリスティ君の家族は声明で、「クリスティは素晴らしい子で、明るい未来が約束されていた。クリスティがいなくなったことはとても寂しい」と述べた上で、家族として前に進んで行かなければならないと付け加えた。

 量刑は5日に言い渡される。デビッド・パジェット(David Paget)判事は、事件があまりにせい惨だったため、今回の陪審員には今後の陪審義務を免除すると述べた。(c)AFP

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