【3月2日 AFP】米フィラデルフィア(Philadelphia)で2月29日、女性たちの臀部(でんぶ)にシリコンとみられる物質を注入する豊尻手術をしていたヒップホップ・アーティストで性転換者の女が逮捕・起訴された。

 この女は、ゴシックファッション調のヒップホップ・ビデオと「ブラック・マダム」の通称で知られるパッジ・ビクトリア・ウィンドスロウ(Padge Victoria Windslowe)被告(42)。29日夜、豊尻手術を受けようとする顧客たちが主催した「注入パーティー」が行われていた家の外で逮捕された。

 2月に同被告の豊尻手術を受けた23歳のダンサーが施術後、体調を崩し、病院に搬送されたことが逮捕のきっかけとなった。加重暴行、詐欺的商行為など複数の罪で起訴された被告の保釈金は、1000万ドル(約8億1200万円)に定められた。

 ヒップアップを望んで訪れた女性たちの手術にウィンドスロウ被告が用いていた物質は不明だが、警察はシリコンだとみている。中には注射跡を瞬間接着剤で閉じていた例もあったという。

■前年には手術後の死亡例も

 ウィンドスロウ被告をめぐっては、2011年2月にも英国人女学生クラウディア・セイエ・アデロティミ(Claudia Seye Aderotimi)さんが同被告の豊尻手術を受けた後に死亡する事件が起きている。

 この時の捜査記録によると、警察は豊尻手術で注入された物質が静脈に入ったことを突き止めたが、ウィンドスロウ被告はこれまでのところ起訴されていない。しかし検視官が死因は豊尻手術注射だったと特定すれば、状況は変わる可能性がある。

 フィラデルフィア警察のジョン・ウォーカー(John Walker)警部補は、地元テレビWCAUに対し、「(アデロティミさんが死亡した)前回の事件と同様に、今回も注入物が血管に入ったのではないかとみている。おそらくはシリコンだと思われるが何であれ、それが血液に混ざり込んで肺に達し呼吸困難を引き起こしたのだろう」と語った。

 死亡した英国人女性はウィンドスロウ被告に施術料1800ドル(約14万6500円)を支払っていたという。同被告はパスポートを没収され、13日に出廷するよう命じられた。(c)AFP

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