【3月1日 AFP】カナダの最高裁は28日、あたかも「くじ」に当選したかのような紛らわしいうたい文句を記したダイレクトメールを受け取り、実際に当選したものと勘違いしたとするケベック(Quebec)州在住の男性の訴えを認め、米誌タイム(Time)に対し、精神的損害および懲罰的損害賠償として1万6000カナダ・ドル(約130万円)を支払うよう命じた。この当選券を装った広告は、雑誌の定期購読を勧めるものだった。

 最高裁は、当選券を思わせる広告に太文字で記された、「ジャン・マルク・リシャール(Jean-Marc Richard)が賞金に当選」とのうたい文句およびそのレイアウトが間違った印象をあたえるとした、ケベック州高等裁判所(第一審)の判断を支持した。実際の広告には、小さな文字で免責条項が記されていた。

 判決では、広告を一般的な消費者目線から捉える必要があるとし、また記載されている文言だけではなく、広告のレイアウト全体が与える第一印象も考慮すべきとした。 

 裁判所によると、リシャールさんのもとに問題の広告(券)が郵送されてきたのは1999年8月。そこにはいくつかのうたい文句が太文字で書かれており、中には83万3337ドルの賞金が当たったと思わせるような文もあった。

 しかしこの広告には小さな文字で賞金の当選が「条件付き」であることが記されており、実際は当選券が入っていた人が券をタイム社に返送するというものだった。この「券」は一方で、タイム誌の定期購読を勧めるものであり、リシャールさんは券の返送と共にタイム誌の定期購読を始めた。

 後日、賞金の当選が叶わなかったことが判明し、リシャールさんはタイム誌を相手取り訴えを起こした。

 ケベック州の高等裁判所はリシャールさんの訴えを認めたが、2審の控訴審では逆転敗訴。控訴裁判所は、消費者に「平均的な知性、疑心、好奇心」があれば、この広告を見て当選したとは誤解しないとの判断を下した。

 最高裁はこの控訴審の判断を退けた。

 最高裁は、「一般的な消費者は、リシャールさんが持っているのは当選券で、手続きのためだけに返送する必要があると考えるだろう」との判断を下し、記載されている確認や制限事項は不明瞭で分かりにくいため、最も目立つ文字の印象を打ち消せるものではないとした。また、うそが記されていたりはしないが、わかりにくく、紛らわしい表現であるとも述べている。(c)AFP