【2月20日 AFP】メキシコ北東部アポダカ(Apodaca)の刑務所で19日、対立する麻薬密売組織間の衝突による暴動が発生し、少なくとも44人の受刑者が死亡した。

 ヌエボレオン(Nuevo Leon)州の州都モンテレイ(Monterrey)から約30キロ離れた現場には収監者の親族が集まり、失神する女性も出た。

 州の報道官は報道陣に対し、44人の死因は刃物による刺し傷だったと述べ、衝突の原因は縄張り争いをしている麻薬密売組織セタス(Zetas)と湾岸カルテル(Gulf Cartel)の刑務所内の覇権争いだったとの見方を示した。刑務所内はすでに落ち着きを取り戻し、遺体の身元の確認が進められているという。

 前年10月にはカデレイタ(Cadereyta)の刑務所で受刑者7人が死亡、12人が負傷する衝突が起きるなど、産業が盛んなメキシコ第3の都市モンテレイとその周辺ではここ数か月、両組織間の抗争によるとみられる事件が増えていた。

 アポダカの刑務所は定員1500人のところ約3000人が収監されていた。中南米では14日夜にホンジュラス・コマヤグア(Comayagua)の刑務所で火災が起きたばかりで、収容人員が過密になっている南米各国の刑務所の実態にあらためて注目が集まっている。この火災による死者はこれまでに359人になったが、身元が確認されたのは38人、遺体が遺族のもとに帰ったのは19人にとどまっている。(c)AFP/Erick Muniz