【1月31日 AFP】カナダ・オンタリオ(Ontario)州キングストン(Kingston)の裁判所は29日、「名誉殺人」で娘ら4人を殺害したアフガニスタン移民の夫婦とその息子に対し、第1級殺人罪で禁錮25年の判決を言い渡した。

 判決を受けたのは、モハマド・シャフィア(Mohammad Shafia)被告(58)と妻のトゥーバ・モハマド・ヤヒヤ(Tooba Mohammad Yahya)被告(42)、息子のハメド・シャフィア(Hamed Shafia)被告(21)の3人。

 3人は、それぞれ19歳、17歳、13歳だった3人の娘と一夫多妻制によるモハマド・シャフィア被告の第1夫人(当時50)の4人を殺害した罪に問われていた。被告側の弁護士によると、被告らは控訴する構えだという。

 被害者4人の遺体は2009年6月、キングストン近郊の運河に沈んでいた車両の中から見つかった。

 法廷での証言から、長女と次女がシャフィア被告の了解を得ずに恋人を作ったことなどがきっかけで、被害者らは自宅で繰り返し虐待や殺害の脅迫を受けていたことが判明した。

 4か月におよんだ裁判で検察側は一貫して、被告らが「名誉殺人」を隠すため、事故を偽装したと主張。被害者らは車に押し込まれる前に、すでに溺死していたか意識不明状態だったと述べていた。

 また、シャフィア被告は父親として、3人の娘たちが肌を露出する衣服を着たり、家で虐待を受けていると学校で訴えたりするなど、家族の名誉を汚したと考えていたと主張した。

 これに対し、被告側はあくまでも4人の死は長女の無謀な運転による事故だったと主張。当時の状況について、家族でナイアガラの滝を見に行き、モントリオール(Montreal)への帰路に宿で1泊していたところ、真夜中に長女が車で出かけたと主張した。

 翌朝、キングストン・ミルズ(Kingston Mills)の運河上流の水門近くに車が沈んでいるのが見つかった。検視の結果、4人全員が溺死とされた。

 シャフィア被告一家はオーストラリア、パキスタン、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ(Dubai)などで15年間過ごした後、2007年にカナダに移住した。

 カナダ・ニューファンドランド(Newfoundland)島のセントジョンズ(Saint John's)にあるメモリアル大学(Memorial University)のアミン・ムハンマド(Amin Muhammed)教授(精神医学)は前年10月、名誉殺人は中東や南アジアで多いが、カナダでも2002年以降に13件起きていると述べていた。(c)AFP/Kenneth Jackson