【1月6日 AFP】英国で2010年12月、ロンドン(London)に住む姉の元にフランスから遊びに来ていた15歳のアフリカ系少年が、呪術を行ったとして実の姉とその恋人から虐待を受け、クリスマスの日に死亡するという事件があった。5日、ロンドンの英中央刑事裁判所で開かれた公判で、すさまじい虐待の実態が明らかになった。

 クリスティ・バミュ(Kristy Bamu)君は両親と仏パリ(Paris)に住んでいたが、休暇で兄弟姉妹4人とともにロンドン東部ニューハム(Newham)に住む姉のマガリー・バミュ(Magalie Bamu)被告を訪ね、同被告のアパートに滞在していた。

 検察側の陳述によると、マガリー被告の恋人でアパートに同居していたエリック・ビクビ(Eric Bikubi)被告が、クリスティ君と姉妹2人が呪術を行ったと非難し始め、虐待を開始。パリからクリスティ君と一緒に来た兄弟姉妹たちにも加担させ、4日間にわたってクリスティ君への虐待を続けた。

 12月25日、被告らはクリスティ君と4人の兄弟姉妹たちを浴槽に押し込め、ホースで冷水を浴びせた。やがてクリスティ君が意識を失ったため、被告らは救急車を呼んだが、クリスティ君は搬送先の病院で死亡が確認された。死因は殴打と溺死だった。

 検察側によるとクリスティ君の遺体には、のみや金づち、金属棒などで殴られた痕が計101か所もあった。苦痛に耐えかねたクリスティ君は、死なせてほしいと被告らに懇願していたという。

 検察官は、「クリスティ君は言語に絶するほど残忍極まりない、継続的な虐待の被害者だ」と被告らを糾弾。虐待を過激化するため、血のつながった兄弟姉妹にクリスティ君への虐待を強いた極悪性を指摘した。

 電話で事件を知らされたパリの両親は、数回にわたって説明を受けても何のことだか理解できなかったという。検察官は、両親はクリスティ君たちをクリスマス休暇に送り出したのであり、虐待されるなどとは夢にも考えていなかったはずだと語った。マガリー、ビクビ両被告はともにコンゴ(旧ザイール)出身。(c)AFP