【12月13日 AFP】パキスタン警察は12日夜、同国南部カラチ(Karachi)にあるイスラム神学校(マドラサ)の家宅捜索を行い、鎖で拘束された生徒45人を地下で発見し、救出した。警察当局が発表した。

 警察幹部のMukhtiar Khaskheli氏はAFPの取材に、カラチ中心部ソーラブ・ゴス(Sohrab Goth)地区にあるイスラム神学校「マドラサ・ザカルヤ(Madrassa Zakarya)」の聖職者2人を逮捕したが、同校の校長は逃走したと語った。「鎖でつながれていた生徒たちの中で、少なくとも18人は20歳以下だった」という。

 パキスタンの一部の神学校は、民兵訓練を行い、暴力的な原理主義組織を支援していると非難されている。また、隣国アフガニスタンに戦闘員を派遣している学校があるとの指摘もある。

「マドラサ関係者は、生徒たちが薬物中毒だったので、更生させてもっと良いイスラム教徒にしたいと思い、生徒たちを鎖につないだと主張している」とKhaskheli氏は語った。本格的な捜査が始まっており、武装勢力との接点も調べるという。

 地元民放「サマアTV(Samaa TV)」は、事件のあった神学校の様子と、鎖でつながれた生徒たちの姿を放映した。生徒たちは警察官に救出されると、歓声をあげて踊った。

■多数のイスラム神学校、貧困背景に

 政府統計によると、パキスタンには少なくとも1万5148校の神学校があり、生徒数は200万人を超える。これは、正規の教育を受けている3400万人の子どもたちのおよそ5%にあたる。

 だが当局は、さらに多くの無登録の神学校があるとみている。貧困にあえぐ大多数のパキスタン家族にとって、神学校だけが唯一通わせることのできる教育機関ともなっている。(c)AFP