【12月10日 AFP】イタリアの国税庁傘下の徴税公社「エクイタリア(Equitalia)」のローマ(Rome)本社で9日、マルコ・クッカーニャ(Marco Cuccagna)総裁宛てに送りつけられた手紙爆弾が爆発した。

 エクイタリアによると、クッカーニャ総裁が手紙を開封しようとしたところ爆発し、ガラスの机が壊れ、総裁は手と顔を負傷して病院で手術を受けた。医師らによると、総裁は両目と3本の手の指に手術を受けた。両目からガラスの破片が取り除かれ、失明は免れたという。

 イタリアの極左組織「非公式な無政府主義者連盟(Informal Anarchist FederationFAI)」が犯行声明を出した。

■FAI、過去にも同様の事件

 FAIは2003年に欧州中央銀行(ECB)に手紙爆弾を送るなど過去にも同様の犯行を繰り返している。今年4月にはスイスの原発事業者団体で3月31日に手紙爆弾が爆発した事件の犯行声明を出しているほか、同じ日にイタリアの兵舎で発生した同様の事件との関与も疑われている。

 一方ドイツでも7日、ドイツ銀行(Deutsche Bank)のヨセフ・アッカーマン(Josef Ackermann)頭取宛てに手紙爆弾が送りつけられた。郵便室の職員が不審を抱いたことからX線検査をしたところ爆発物が入っていることが分かり、警察が処理したため爆発はしなかった。同封されていた犯行声明に「銀行、銀行家、ダニ、搾取者に3つの爆発物を送る」といった記述があったため、捜査当局は3つ目の手紙爆弾が既に投函された恐れもあるとして警戒している。

 7日と9日の手紙爆弾は両方ともイタリアのミラノ(Milan)から投函されたと報じられている。

■反エクイタリア団体の反応

 エクイタリアは一般の納税者についてよく間違いをするとして批判されており、脱税が横行しているイタリアにあって多くの人から嫌われている。

 最近結成された反エクイタリア団体「人々のための運動(Movement for the People)」は9日、手紙爆弾とは無関係で暴力を非難するという声明をウェブサイトに発表したが、イタリアのANSA通信によると一部の反エクイタリア団体は「総裁がこの程度の大けがで済んだのは残念」などとするメッセージをインターネットに掲載したという。(c)AFP/Ella Ide

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