【11月30日 AFP】コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopersPwC)は29日、2011年の経済犯罪に関する調査結果を発表した。調査対象のうち3分の1を超える企業が不正行為の被害に遭い、特にサイバー攻撃の報告が急増していることが分かった。

 今回の調査は78か国の企業3877社を対象に行われた。2009年の調査では、不正行為の被害を受けたと回答した企業は30%だったが、過去12か月では約34%になっていた。

 一方で、不審な処理に気付いた企業の割合は2009年の5%から2011年は18%に増えており、不正行為を発見する方法が向上したことも、経済犯罪被害の報告が増えた理由の一部だと報告書は分析している。被害額についてみると、不正行為により500万ドル(約3億9000万円)を超える損害を受けたと回答した企業は10社に1社に上った。

 また、2011年にコンピューターやインターネット関連の犯罪の被害を受けたと回答した企業は23%に上り、この種の犯罪が不正な会計処理や汚職(いずれも24%)と同程度にまん延している実態が浮かび上がった。コンピューター関連の犯罪は、前回調査時の「非常に低い、統計的に有意でない」レベルから爆発的に増えたと報告書は指摘している。
 
 ただし不正な会計処理に関する報告は、前回調査から14ポイント減った。その主な要因として、記者会見を行ったPwCのジャン・ルイ・ディジョバンニ(Jean-Louis Di Giovanni)氏は、2008年の世界金融危機以降、企業が自社の会計処理にいっそう注意を払うようになったことを挙げた。

 最も多い経済犯罪は資産の不正流用(窃盗)で、回答企業の72%が何らかの被害を受けていた。

 PwCによると、報告された不正のうち54%は従業員が1000人を超える企業で、17%は200人未満の企業で起きていた。(c)AFP