【11月29日 AFP】ロイター(Reuters)通信のカメラマン、村本博之(Hiroyuki Muramoto)さん(当時43)が2010年4月にタイのバンコク(Bangkok)で軍とデモ隊の衝突を取材中に銃弾を受けて死亡した事件で、タイのチャルーム・ユーバムルン(Chalerm Yubamrung)副首相は29日、発砲は軍部隊によるものだったことを示す明白な証拠を得たと発表した。

 タイ警察当局は前日、村本さんの死亡事件に関連してアピシット・ウェチャチワ(Abhisit Vejjajiva)前首相から事情を聴く方針を固めたと述べていた。

 チャルーム副首相は首相府で駐タイ日本大使に対し、「捜査の結果、日本人カメラマン死亡事件が政府治安部隊の行動によるものだったことが極めて明白になった。法医学的な証拠がある上、複数の目撃者もいる」と語った。

 2010年4~5月の「赤シャツ隊」による即時総選挙を要求する抗議デモには、最大でおよそ10万人が集まり、治安部隊との衝突で90人以上が死亡、1900人近くが負傷した。死者の大半は民間人だった。

 警察当局は当初、村本さん死亡事件への軍の関与を否定していた。

 タイ国民を深く分断したこの流血の事態の後、2011年7月の総選挙で赤シャツ隊にとっての英雄タクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相派が政権を取り、タクシン元首相の妹、インラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)氏が首相になった。(c)AFP